オンライン特化型の声優スクール・メイクリでは、 「自分の声がイケボに近いのかどうか、何を基準に判断すればいいか分からない」という相談を日常的に受けています。
感覚的に判断しようとしている人が多いですが、 実際にはイケボかどうかを判断するための基準は感覚論では成立しないケースがほとんどです。 「なんとなくカッコいい声かどうかで分かる」という前提のまま進んでいると、 判断が曖昧なまま取り組みの方向性が定まらない状態が続くことがあります。
こうした前提のズレがあるままでは、 どれだけ練習を重ねても正しい方向に進んでいるかどうかが確認できません。
このページでは、 イケボに近い声かどうかを判断するための基準と、なぜ感覚だけでは判断しにくいのかを見ていきます。
イケボかどうかの判断が難しい理由
イケボかどうかを判断することが難しいのは、 評価の基準が曖昧なまま使われているからです。
「カッコいい声」「良い声」という言葉は広く使われていますが、 それが具体的に何を指しているかは人によって異なります。
低い声を良い声だと感じる人もいれば、 落ち着いた話し方を良い声と関連づけている人もいます。
こうした感覚的な評価は、 声の状態を正確に把握するための基準にはなりません。
イケボかどうかを判断するためには、 感覚的な評価ではなく、 声の状態として確認できる要素を基準にする必要があります。
判断基準① 倍音が整っているかどうか
イケボとして機能する声の最も重要な条件のひとつが、 倍音が自然に整っているかどうかです。
倍音が整っている声は、 耳に引っかかりにくく自然に前に届きます。 長時間聴いていても疲れにくく、 聴き手に負担を与えません。 マイクを通しても輪郭が崩れにくくなります。
倍音が整っていない声は、 こもって聴こえたり、 刺さるような印象になったり、 マイクを通すと一気に弱くなったりします。
録音した声を聴いて、 こもりや刺さりがないかどうか、 輪郭がはっきりしているかどうかを確認することが、 倍音の状態を把握する手がかりになります。
ただし、この判断は評価基準を持っていないと難しく、 録音を聴くだけでは分かりにくい場合があります。
判断基準② 息の量が適切かどうか
息の量が適切かどうかも、 イケボに近い声かどうかを判断する基準のひとつです。
息が多すぎる声は、 息っぽさが目立ち、声の輪郭が薄くなります。 マイクを通すと息の音が強調されやすくなります。
息が少なすぎる声は、 硬くなりやすく、圧迫感が出ます。 長時間話すと疲れやすい声になります。
適切な息の量では、 声帯の振動が安定し、 倍音が整いやすくなります。
録音した声に息っぽさが目立つ場合は息が多すぎる状態、 硬さや詰まりがある場合は息が少なすぎるか喉に力が入っている状態として、 現状の確認に使うことができます。
判断基準③ 喉に余計な力が入っていないかどうか
喉に余計な力が入っているかどうかも、 声の状態を判断する基準になります。
喉に力が入っている声は、 こもりやすく、声道が狭くなります。 倍音が整いにくくなり、 声が前に飛びにくくなります。
喉の力が抜けている声は、 声道が自然に開き、 倍音が鳴りやすくなります。
喉に力が入っているかどうかは自分の感覚だけでは判断しにくく、 録音を通して確認する方法が有効ですが、 評価基準がなければ判断は難しくなります。
また、長時間話した後に喉が疲れやすい場合は、 喉に余計な力が入っている可能性があります。
判断基準④ 聴き手に負担を与えていないかどうか
イケボとして機能する声の本質は、 聴き手にとっての心地よさにあります。
耳に引っかかりがないか。 長く聴いていても疲れないか。 自然に内容が入ってくるか。
こうした聴き手側の感覚が基準になります。
ただし自分の声は自分では評価しにくく、 他者に確認してもらう必要があります。
また、評価する側に基準がない場合は、 「良い声だと思う」という感想しか返ってこないケースもあります。
聴き手に負担を与えているかどうかという基準は重要ですが、 正確に把握するためには適切な評価環境が必要です。
判断基準⑤ マイクを通しても崩れないかどうか
イケボとして実用に耐えるかどうかを確認するための基準として、 マイクを通しても声の印象が崩れないかどうかがあります。
生声では良く聞こえていても、 マイクを通すと崩れる声はイケボとして実用的には機能しにくくなります。
逆に、 マイクを通しても輪郭が保たれ、 印象が変わらない声は、 発声の土台が整っている状態に近いと言えます。
録音・配信・オンライン会議など、 マイクを通す環境で自分の声がどう聴こえているかを確認することが、 判断の基準のひとつになります。
感覚だけでは判断できない理由
ここまで挙げてきた判断基準は、 感覚だけでは正確に確認することが難しいものです。
倍音の状態は録音を通しても聴き分けにくく、 評価基準を持っていない状態では判断できません。
息の量の適切さは、 出している側の感覚と聴き手に届いている状態でズレが生じます。
喉の力の有無は、 本人には「普通に話している」状態として感じられることが多く、 気づきにくいものです。
感覚だけで判断しようとすると、 正確な評価が難しく、 判断が主観的な印象に留まりやすくなります。
判断するためには外側からの評価が必要
自分の声がイケボに近いかどうかを正確に判断するためには、 外側からの評価が必要です。
自分の感覚や録音だけでは、 倍音・息・喉の状態を正確に評価することに限界があります。
評価基準を持った状態で外側から確認することで、 声の状態の何が整っていて何が整っていないかが把握できます。
この把握がなければ、 取り組みの方向性を定めることが難しくなります。
判断の基準を持つことと、 外側からの評価を組み合わせることが、 自分の声の現状を把握するための前提になります。
イケボに近い声かどうかの判断は状態の確認から始まる
ここまで見てきたように、 イケボに近い声かどうかを判断するためには、 感覚的な評価ではなく、 倍音・息・喉・聴き手への負担・マイク越しの状態という要素を基準にする必要があります。
こうした基準を持った上で声の状態を確認することが、 判断の出発点になります。
イケボが成立するための条件と、 声の状態として何を確認すべきかの全体像については、 イケボに近い声かどうかを確認するための成立条件で詳しく扱っています。

