声がこもると言われる人がイケボになれない構造

オンライン特化型の声優スクール・メイクリでは、 「声がこもっていると言われるがどうすればいいか分からない」という相談を日常的に受けています。

こもった声はイケボとは対極にある状態として認識されがちですが、 実際にはこもりの原因が何かを把握しないまま対処しようとしているケースがほとんどです。 「大きな声を出せばこもりが解消される」「低い声をやめればいい」という前提のまま進んでいると、 こもりの原因に触れないまま時間が過ぎることがあります。

こうした前提のズレがあるままでは、 どれだけ声の出し方を変えようとしても「こもった声」という状態が続きやすくなります。

このページでは、 声がこもる理由と、なぜそこからイケボに近づきにくくなるのかを見ていきます。

こもった声とはどういう状態か

「声がこもる」という表現は日常的に使われますが、 音として何が起きているかを確認すると、 倍音の鳴り方に問題がある状態として説明できます。

声には基音と倍音が含まれており、 この倍音が自然に整って鳴っているとき、 声は耳に心地よく届きます。

こもった声は、 本来鳴るべき倍音がうまく鳴っておらず、 声が前に飛ばずに内側に留まっているような状態です。

聴き手には、 音が届いてはいるが輪郭がはっきりしない、 何を言っているか聞き取りにくい、 こもっていて重たい印象として届きます。

こもりはイケボとは逆の状態であり、 こもりの原因が解消されない限り、 どれだけ他の要素を変えてもイケボとして機能する声にはなりにくくなります。

こもる理由① 喉に余計な力が入っている

声がこもる最も多い原因のひとつが、 喉に余計な力が入っている状態です。

喉に力が入ると、 声道が狭くなり、 声が前に飛びにくくなります。

声道が狭い状態では、 倍音が整って鳴ることが難しくなります。

結果として、 音は出ているが通らない、 響かずにこもる、 という状態になります。

喉に力が入りやすい状況として多いのは、 緊張しているとき、 低い声を無理に出そうとしているとき、 声量を上げようとして力んでいるときなどです。

こうした状況で喉に入った力は、 本人には気づきにくく、 「普通に話しているつもり」の状態でも 力が入ったまま定着しているケースがあります。

こもる理由② 息の量が多すぎる

声がこもるもうひとつの原因として、 息の量が多すぎる状態があります。

息が多すぎると、 声帯がしっかり振動できず、 声に芯がなくなります。

芯のない声は、 ふわっとした息っぽい声になりやすく、 こもって聴こえることがあります。

息が多い状態の声は、 生声では「ソフトな声」として聴こえる場合があります。 ですがマイクを通すと、 息っぽさが強調されて輪郭がさらに薄くなります。

日常会話では「やさしい声」として受け取られていても、 録音や配信では「こもった声」「何を言っているか分からない」 と評価が変わるケースがあります。

こもる理由③ 口の開き方が適切でない

声がこもる原因として見落とされやすいのが、 口の開き方の問題です。

口が十分に開いていない状態では、 声が外に出にくくなります。

口の中で音が反響したまま外に飛ばないため、 こもった印象になりやすくなります。

また、 あごに力が入っていたり、 口の動きが小さかったりする場合も、 声の通りに影響します。

こうした状態は、 話す習慣の中で無意識に定着していることが多く、 本人は気づいていないケースがほとんどです。

こもる理由④ 共鳴が使えていない

声の響きを作る上で、 口腔・鼻腔・咽頭といった共鳴腔の使い方が関係しています。

これらの共鳴腔が適切に機能しているとき、 声は豊かに響いて前に届きます。

共鳴が使えていない状態では、 声が響かずにこもりやすくなります。

共鳴腔の使い方は感覚でつかみにくい要素であり、 意識しようとしても何をどうすればいいかが分かりにくい領域です。

そのため、 こもりの原因が共鳴にある場合、 独学では特定が難しくなります。

こもりがイケボを遠ざける理由

こもった声がイケボになれない理由は、 倍音の鳴り方にあります。

イケボとして機能する声は、 倍音が自然に整った状態で耳に届きます。

こもりがある状態では、 この倍音の鳴り方が乱れています。

倍音が整っていない声は、 どれだけ低くしても、 どれだけゆっくり話しても、 イケボとして認識されにくくなります。

こもりを解消しないまま他の要素を変えようとしても、 根本の問題に触れていないため、 変化が感じられない状態が続きます。

こもりの原因は自分では特定しにくい

声がこもっていると言われても、 その原因が何かを自分で特定することは難しいものです。

・喉に力が入っているかどうか ・息の量が多すぎるかどうか ・共鳴が使えているかどうか

こうした要素は、 自分の感覚だけでは正確に判断できません。

録音して聴き返しても、 何が原因かを特定するための基準がなければ、 「こもって聴こえる」という事実を確認するだけで終わります。

こもりの原因を特定するためには、 声の状態を外側から評価する視点が必要です。

こもりの解消はイケボへの入口ではなく前提条件

ここまで見てきたように、 こもった声からイケボに近づくためには、 まずこもりの原因を特定して取り組む必要があります。

こもりの解消はイケボへの近道ではなく、 イケボが成立するための前提条件として位置づけられます。

喉の力の抜き方、 息の量のバランス、 口の開き方、 共鳴の使い方。

こうした要素のどこに問題があるかを把握し、 ひとつずつ状態を変えていくことが必要です。

ただしこうした要素の現状把握は、 自分の感覚だけでは難しく、 外側からの評価がなければ方向性を確認しにくいものです。

イケボが成立するための声の条件と、 こもり以外の要素も含めた全体の構造については、 声のこもりとイケボの関係|響きが成立する条件とはで詳しく扱っています。

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