オンライン特化型の声優スクール・メイクリでは、 「イケボは生まれつきの才能があるかどうかで決まるのではないか」という相談を日常的に受けています。
イケボは一部の人だけが持つ特別な資質だと思われがちですが、 実際には生まれ持った声質がそのままイケボかどうかを決めるわけではありません。 「才能がないから無理だ」あるいは「才能があるから自然にできる」という前提のまま進んでいると、 本来取り組むべき要素が見えなくなることがあります。
こうした前提のズレがあるままでは、 才能の有無を気にし続けて練習の方向性が定まらない状態になりやすくなります。
このページでは、 イケボが才能によるものなのか、技術によるものなのかを見ていきます。
生まれ持った声質とイケボは別の話
人によって声の高さや声質には個人差があります。
生まれつき低い声の人、 高い声の人、 こもりやすい声の人、 通りやすい声の人。
こうした違いが存在することは事実です。
ですが、 生まれ持った声質がそのままイケボかどうかを決めるわけではありません。
生まれつき低い声であっても、 倍音が整っていなければイケボとして機能しません。
生まれつき特別な声質でなくても、 発声の状態が整えばイケボとして認識される声になります。
声質は素材のひとつに過ぎず、 それだけで結果が決まるものではありません。
イケボとして機能する声には共通する条件がある
才能の話をする前に確認すべきことがあります。
イケボと呼ばれる声には、 声の高さや声質に関係なく、 共通して見られる条件があります。
倍音が自然に整っていること。 息の量が適切にバランスされていること。 喉に余計な力が入っていないこと。 聴き手の耳に負担なく届くこと。
こうした条件が整っているとき、 声はイケボとして認識されやすくなります。
逆に言えば、 こうした条件が整っていない状態では、 生まれつきの声質がどうであれ イケボとして機能しにくくなります。
才能の問題ではなく、 条件の問題として捉えることができます。
声は後天的に変わる要素を持っている
声の出し方は、 生まれた後の習慣や使い方によって変わる部分が大きくあります。
普段どのように声を出しているか。 喉にどのくらい力を入れて話しているか。 息をどのように使っているか。
こうした要素は、 意識して取り組むことで変化します。
たとえば、 普段から喉に力を入れて話す習慣がある人は、 その習慣によって倍音が鳴りにくい状態が作られています。
この習慣が変われば、 声の響き方も変わります。
声質そのものが大きく変わるわけではありませんが、 声の届き方・響き方・聴き心地は 発声の状態によって変化します。
この変化は、 才能の有無に関係なく起きうるものです。
才能がある人でも崩れる場面がある
才能があると思われている人の声でも、 特定の条件下では崩れることがあります。
マイクを通したとき。 緊張した場面。 長時間話し続けたとき。 初対面の相手との会話。
こうした場面で声が崩れるのは、 才能の問題ではなく、 発声の土台が安定していないことによるものです。
日常的に「良い声だ」と言われていても、 マイクを通すと別の声に聴こえたり、 緊張すると声が変わったりするケースは珍しくありません。
才能があるように見えても、 発声の状態が安定していなければ 実用の場面で機能しないことがあります。
技術として取り組むことで何が変わるか
イケボを才能として捉えると、 「あるかないか」の二択になります。
ですが技術として捉えると、 「今どういう状態にあるか」という現状の確認と、 「何をどう変えればいいか」という方向性の話になります。
現状の声が倍音の観点からどういう状態にあるか。 息の量はどうか。 喉の力の入り方はどうか。
こうした要素を確認し、 ひとつずつ状態を変えていくことが技術として取り組むということです。
才能の有無を考えることは、 この確認と取り組みの代わりにはなりません。
独学では技術として取り組む限界がある
技術として取り組めばイケボに近づけると言っても、 独学では壁があります。
声は自分で出している音を 自分で正確に評価することが難しいものです。
・響いているつもりでも、実際にはこもっている ・喉の力が抜けているつもりでも、入っている ・息の量が適切なつもりでも、多すぎる
こうしたズレは、 外側からの評価がなければ気づきにくいものです。
技術として取り組む方向性は正しくても、 自分の声の現状を正確に把握できなければ、 何をどう変えればいいかの判断ができません。
才能の問題ではなく、 評価の仕組みの問題として存在します。
イケボは才能でも偶然でもなく、状態の問題
ここまで見てきたように、 イケボかどうかは才能で決まるものではなく、 声の状態が条件を満たしているかどうかで決まるものです。
生まれ持った声質は素材のひとつですが、 それだけで結果が決まるわけではありません。
発声の状態が整っているかどうか。 倍音が自然に鳴っているかどうか。 息と声帯のバランスが取れているかどうか。
こうした条件の有無が、 イケボとして機能するかどうかを決めています。
才能があるかどうかを考えることよりも、 自分の声が今どういう状態にあるかを確認することが先になります。
イケボが成立するための条件と、 声の状態として何が必要かについては、 イケボが成立する声の状態と条件で詳しく扱っています。

