オンライン特化型の声優スクール・メイクリでは、 「Zoomなどのオンライン会議で自分の声が悪く聞こえると指摘された」という相談を日常的に受けています。
Zoomで声が悪く聞こえるのは機材の問題だと思われがちですが、 実際には発声の状態がZoomという環境によって可視化されているケースがほとんどです。 「マイクを良いものに変えれば解決する」という前提のまま進んでいると、 発声の根本に触れないまま機材だけが増えていくことがあります。
こうした前提のズレがあるままでは、 機材を変えても声の印象が改善しない状態が続きやすくなります。
このページでは、 Zoomで声が悪く聞こえる原因と、イケボとの関係を見ていきます。
Zoomで声が変わって聞こえる理由
Zoomをはじめとするオンライン会議ツールは、 音声をリアルタイムで圧縮・処理して相手に届けます。
この処理の過程で、 声の特性が変化することがあります。
ノイズキャンセリング機能が入っている場合、 声の一部が削られることがあります。
音声の圧縮によって、 倍音の細かい成分が失われることがあります。
ネットワークの状況によって、 音声が途切れたり遅延したりすることもあります。
こうした処理は、 発声の状態が整っている声と整っていない声で、 届き方の差が出やすくなります。
倍音が整っている声は処理を経ても輪郭が保たれやすく、 倍音が乱れている声は処理によってさらに崩れやすくなります。
原因① 発声の状態がZoomの処理に耐えていない
Zoomで声が悪く聞こえる最も根本的な原因として、 発声の状態がZoomの音声処理に耐えられていないという点があります。
Zoomの音声処理は、 声の輪郭がはっきりしている声を前提に機能します。
倍音が整っていない声、 息の量が多すぎる声、 こもりやすい声は、 処理によってその特性が強調されます。
こもりが強調されてさらに聴き取りにくくなる、 息っぽさが強調されて声の輪郭が消える、 音が割れやすくなる。
こうした状態はZoomの問題ではなく、 発声の状態がZoomという環境によって可視化されているものです。
原因② 内蔵マイクの集音特性が発声の問題を拾いやすい
ノートパソコンやスマートフォンの内蔵マイクは、 指向性が広く周囲の音を拾いやすい特性があります。
この特性は、 声の問題を拾いやすいという側面も持ちます。
こもりやすい声は内蔵マイクでさらにこもって拾われやすくなります。 息の多さは内蔵マイクで息の音として拾われやすくなります。 部屋の反響は内蔵マイクでそのまま混入しやすくなります。
外付けマイクに変えることで改善する部分はありますが、 発声の状態に問題があれば外付けマイクでも完全には解決しません。
機材と発声の状態、両方を確認する必要があります。
原因③ ノイズキャンセリングが声を削っている
Zoomにはノイズキャンセリング機能が搭載されており、 周囲の雑音を除去して声を届けます。
ですがこの機能が強く働くと、 声の一部まで削られることがあります。
倍音が弱い声は、 ノイズキャンセリングによってさらに倍音が削られ、 こもりが強調されることがあります。
息の多い声は、 息の成分がノイズとして処理されることがあります。
ノイズキャンセリングの設定を変えることで改善するケースもありますが、 発声の状態が整っていれば影響を受けにくくなります。
原因④ 録音環境の反響がZoomに乗る
自宅やオフィスでZoomを使う場合、 部屋の反響が音声に混入することがあります。
壁・床・天井に反響した声がマイクに入ると、 声にこもった印象が加わります。
反響が多い環境では、 発声の状態が良くても録音される音に影響が出ます。
簡単な対策として、 カーテンや布製品が多い環境ではある程度の吸音が期待できます。
ただし反響の問題と発声の問題は別の軸で存在しており、 環境だけ変えても発声の状態に問題があれば根本は変わりません。
原因⑤ 自分の声がどう届いているか把握できていない
Zoomで声が悪く聞こえることに気づきにくい原因のひとつとして、 自分の声が相手にどう届いているかをリアルタイムで確認できないという点があります。
Zoomで話しているとき、 自分には自分の生声が聴こえています。
相手に届いている音は、 マイク・処理・ネットワークを経た後の音です。
この二つは異なります。
Zoomでの会議を録画して確認する、 または別のデバイスで確認するといった方法で、 相手に届いている音を把握することができます。
ですが何を基準に評価すればいいかが分からなければ、 確認しても「なんか変な気がする」という感想で終わりやすくなります。
Zoomでの声の問題はイケボの課題と重なっている
Zoomで声が悪く聞こえる原因として見てきた要素、 倍音の乱れ、息の多さ、こもり、喉の力み。
これらはそのまま、 イケボが成立しない状態の原因と重なっています。
イケボとして機能する声は、 倍音が整い、息のバランスが取れ、喉の力が抜けている状態です。
この状態の声は、 Zoomの音声処理を経ても輪郭が保たれやすく、 相手に届いたときに聴き取りやすい状態になります。
Zoomで声が悪く聞こえるという問題と、 イケボとして機能する声を目指すことは、 取り組む要素として大きく重なっています。
機材を変える前に発声の状態を確認する
Zoomで声が悪いと感じたとき、 多くの人が最初に検討するのはマイクの購入です。
マイクを変えることで改善する部分は確かにあります。
ですが発声の状態に問題がある場合、 マイクを変えても根本の問題は残ります。
高価なマイクは声の特性を忠実に拾うため、 発声の問題もより明確に出ることがあります。
機材を変える前に、 自分の発声の状態がどうかを確認することが先になります。
倍音が整っているか。 息の量は適切か。 喉に余計な力が入っていないか。
こうした要素の現状を把握してから、 必要に応じて機材を検討する順序が有効です。
Zoomで声が機能する状態とイケボの条件は切り離せない
ここまで見てきたように、 Zoomで声が良く届く状態とイケボとして機能する声の条件は、 発声の土台として共通しています。
Zoomという環境は、 発声の状態の問題を可視化する場でもあります。
Zoomでの声の印象を改善したいと考えるなら、 発声の土台から取り組むことが最も根本的なアプローチになります。
オンライン環境でも機能するイケボの条件と、 発声の状態との関係については、 オンライン会議でも崩れない声の条件とイケボで詳しく扱っています。

