オンライン特化型の声優スクール・メイクリでは、 女声を学びたい人から「レッスンを受けているのに変化が感じられない」という相談を受けることがあります。
通っている。 練習もしている。 それでも何かが変わっている気がしない。
こうした状態が続くと、 「自分には向いていないのかもしれない」という判断が生まれやすくなります。
ですが変化が起きない理由は、 本人の適性や努力の問題ではないケースがほとんどです。
レッスンを受けているにもかかわらず変化が起きないとき、 そこには構造的な理由があります。
このページでは、 女声レッスンを受けても変化が起きない理由を見ていきます。
目的と合っていない場所でレッスンを受けている
変化が起きない最も多い理由は、 自分の目的と合っていない場所でレッスンを受けているという状態です。
声優スクールに入会した。 ボイストレーニング教室に通い始めた。 女声も相談可と書いてあったから申し込んだ。
こうした選択の背景に、 「声のレッスンができる場所ならどこでも同じはず」という前提があることがあります。
ですが女声の習得と、 声優スクールや音楽スクールが想定している内容は、 目指す方向が一致しないことがほとんどです。
目的と合っていない場所でレッスンを続けても、 自分が必要としている変化は起きません。 変化が起きないまま時間とお金が過ぎていくと、 「自分には無理なのかもしれない」という感覚が生まれやすくなります。
変化が起きていないとき、 まず確認すべきなのは自分の適性ではなく、 受けているレッスンの方向が目的と合っているかどうかです。
女声の前提を伝えられていない
変化が起きない理由のひとつに、 自分の目的を講師に正確に伝えられていないというケースがあります。
「声を綺麗にしたい」 「中性的な声にしたい」
こうした言い換えで相談してしまうと、 講師の指導の方向が最初からズレます。
中性的な声に向けた指導と、 女声として成立するための発声に向けた指導は、 目指す状態が一致しません。
前提が伝わっていない状態では、 講師は正しい方向に向けて指導することができません。 受講生は変化を感じられないまま続けることになります。
目的を正確に伝えることが、 指導の方向を合わせるための最初の条件です。
変化を確認する基準がない
レッスンを受けていても、 変化が起きているかどうかを確認する基準がない状態が続くことがあります。
女声として成立しているとはどういう状態か。 何がどう変われば前進していると言えるのか。
この基準がない状態でレッスンを受け続けても、 変化しているのかどうかが分からないまま時間が過ぎていきます。
「なんとなく良くなっている気がする」 「なんとなく変わっていない気がする」
こうした感覚だけが積み重なり、 練習の方向を確認する手段がありません。
変化を確認するための基準を持っていないことが、 「変化が起きていない」という感覚を生み続ける要因になります。
通常の発声練習が女声の習得と干渉している
声優スクールのカリキュラムに沿って発声練習を続けることで、 女声の習得に逆効果になるケースがあります。
腹式呼吸を鍛える。 共鳴を強くする。 声量を上げる。
これらは声優としての発声を作るためには有効な練習です。 ですが女声として成立するための発声の方向とは、 一致しない部分があります。
声優の発声練習で鍛えられる共鳴の位置や息の方向が、 女声として成立するために必要な状態から遠ざかることがあります。
カリキュラムに沿って練習を続けるほど、 掴みかけた女声の感覚が戻っていく。 こうした状態が、変化が起きない、あるいは悪化しているという感覚を生むことがあります。
集団レッスンでは個別の問題に対応できない
集団形式のレッスンでは、 自分の声の状態に合わせた個別の対応を受けられる機会が限られます。
女声の習得は個人差が極端に大きい分野です。 崩れるポイントは一人ひとり異なります。 息継ぎのタイミングで戻る人もいれば、 語尾で崩れる人もいます。
集団レッスンでは、 全体向けの説明をなぞる形になります。 自分の崩れるポイントを特定して、 その場でフィードバックしてもらえる機会が少なくなります。
全体向けの説明が自分の状態に当てはまらない場合、 レッスンを受け続けても変化が起きないまま時間が過ぎることになります。
間違った方向で練習を積み重ねている
レッスンで習ったことを自宅で練習しているにもかかわらず、 変化が起きないケースがあります。
その場合、 練習の方向そのものが合っていない可能性があります。
女声の習得において、 方向が合っていない練習を積み重ねることは、 変化が起きないだけでなく、 誤った発声の癖を固定するリスクがあります。
練習の頻度や量を増やしても、 方向が合っていなければ変化は起きません。
変化が起きないときに「練習量が足りない」という判断で進むと、 誤った方向への積み重ねが増えることになります。
変化が小さすぎて気づけない
女声の変化は、 一度に大きく起きるものではなく、 少しずつ積み重なっていくものです。
そのため、 日々のレッスンや練習の中では変化を実感しにくいことがあります。
変化が起きているにもかかわらず、 「変わっていない」という感覚が続くケースがあります。
変化を確認するためには、 過去の状態と現在の状態を比較できる仕組みが必要です。
定点で録音を残していない場合、 そもそも何と比べればいいかが分からなくなります。 比較する基準がない状態では、 変化が起きているかどうかを判断することができません。
出している感覚と実際の音がズレている
女声を出している感覚があっても、 録音して聴き返すと「何か違う」と感じることがあります。
これは出している感覚と外から聴こえている音がズレているためです。
骨伝導の影響により、 自分の声を内側から聴いている感覚と、 外から聴こえる音とでは周波数の伝わり方が異なります。
「出せている気がする」という感覚で練習を続けても、 実際の音は意図した状態になっていないことがあります。
このズレを修正するためには、 第三者の耳でリアルタイムに確認しながら進む必要があります。 自分の感覚だけを頼りに練習を続けていると、 ズレが固定されたまま時間が過ぎることがあります。
変化が起きない理由は適性ではなく構造にある
ここまで見てきた理由に共通しているのは、 変化が起きない理由が本人の適性や努力の問題ではなく、 レッスンの構造的な問題に根ざしているという点です。
目的と合っていない場所を選んでいる。 前提を正確に伝えられていない。 変化を確認する基準がない。 通常の発声練習が干渉している。 集団レッスンでは個別対応が難しい。 練習の方向が合っていない。 変化が小さく気づけない。 感覚と実際の音がズレている。
これらの条件のどれかが当てはまる状態でレッスンを続けても、 変化が起きないまま時間が過ぎることになります。
変化が起きないことを自分の問題として片付ける前に、 レッスンの構造に問題がないかを確認することが必要です。
女声を教えられる場所が少ない構造的な背景については、 女声を教えてくれる声優スクールが存在しない理由で扱っています。


