オンライン特化型の声優スクール・メイクリでは、 「自分の声が女声として成立しているのかどうか判断できない」という相談を日常的に受けています。
女声として成立しているかどうかは感覚で分かると思われがちですが、 実際には成立していない声でも「できている」と感じてしまうケースがほとんどです。 「女性的に聞こえる瞬間があるから成立している」という前提のまま進んでいると、 成立していない状態を積み重ねることになりやすくなります。
こうした前提のズレがあるままでは、 練習を続けても女声として成立する状態に近づいていない可能性があります。
このページでは、 女声として成立していない声に共通する特徴と、なぜそうなりやすいのかを見ていきます。
女声として成立しているとはどういう状態か
女声として成立している状態を確認するためには、 まず成立している状態の条件を把握する必要があります。
女声として成立している状態とは、 裏声や声色の操作によらず、 発声全体が継続的に女性として知覚される状態です。
ここで重要なのは「継続的に」という点です。
一瞬だけ女性的に聞こえる声や、 特定の条件下でだけ成立する声は、 女声として成立している状態とは異なります。
条件が変わっても、 声量が変わっても、 話し続けても、 同じ性質で女性として知覚される状態が続くこと。
これが成立の条件になります。
特徴① 短時間では成立しているが続かない
女声として成立していない声の最も典型的な特徴が、 短時間では女性的に聞こえるが、話し続けると崩れるという点です。
数フレーズだけなら成立しているように聞こえる。 短い返答では女性の声として知覚されるが、 会話が続くと崩れていく。
こうした状態は、 発声全体が安定していないことを示しています。
女声として成立している状態は、 短時間だけでなく、 継続的に同じ性質で知覚される状態です。
続かないということは、 女声の成立条件を満たしていない状態です。
特徴② 声量が上がると崩れる
女声として成立していない声のもうひとつの特徴として、 声量が上がった場面で崩れやすくなるという点があります。
小さな声では女性的に聞こえていても、 少し大きな声を出す場面になると、 男性的な要素が強く出てきます。
これは発声全体の性質が変わっていないことを示しています。
声量が変わっても同じ性質で知覚される状態が、 女声として成立している条件のひとつです。
声量に依存している女声は、 成立条件を満たしていない可能性があります。
特徴③ 緊張や不意の場面で出なくなる
緊張した場面や、 準備をしていない状況では出せなくなる声も、 女声として成立していない状態の特徴です。
意識的に「作っている」声は、 集中力や準備が必要な状態です。
緊張や不意の場面では、 その集中が途切れるため、 声が崩れやすくなります。
日常的な発声において、 意識せずとも同じ性質で知覚される状態が、 女声として成立している条件です。
緊張すると出なくなる声は、 成立条件を満たしていない可能性があります。
特徴④ 裏声に依存している
裏声を基盤にした声は、 女声として成立していない状態の典型的な例のひとつです。
裏声は声帯の振動の仕方を一部切り替えた発声であり、 一時的に声質が変わりますが、 発声全体の性質が変わっているわけではありません。
裏声を使っている状態では、 声帯への負担が一点に集中しやすくなります。 声量を必要とする場面では不安定になりやすくなります。 話し続けると疲れが出やすくなります。
裏声に依存している声は、 女声として継続的に成立する状態とは異なります。
特徴⑤ 高さだけで成立している
声の高さだけで女性的に聞こえている声も、 女声として成立していない状態のひとつです。
高い音程を出すことはできても、 発声全体の性質が女性として知覚される状態になっていない場合、 聴き手には「高い男性の声」として届くことがあります。
女声の成立条件は声の高さではなく、 発声全体がどのように知覚されるかです。
高さだけを追いかけている発声は、 成立条件とは異なる要素を目標にしている可能性があります。
特徴⑥ 特定の話し方でしか成立しない
特定の話し方やテンポ、 あるいは特定の言葉を発するときだけ成立している声も、 女声として成立していない状態です。
「この話し方をすれば女声に聞こえる」 「ゆっくり話せば成立する」 「この音域の言葉だけ出せる」
こうした条件付きの成立は、 発声全体が安定していないことを示しています。
話し方や条件に依存している女声は、 日常的な発声において継続的に成立する状態ではありません。
特徴⑦ 録音すると印象が変わる
生声では成立しているように感じていても、 録音して聴き返すと印象が変わるケースがあります。
自分の声を話しながら聴くとき、 骨伝導の影響で実際とは異なる印象で聴こえることがあります。
録音を通して外側から聴くと、 男性的な要素が残っていることに気づくことがあります。
録音したときに印象が大きく変わる場合、 自分が感じている声の状態と、 相手に届いている声の状態にズレがある可能性があります。
成立していない状態に気づきにくい理由
女声として成立していない状態に気づきにくい理由は、 「できている感覚」が生まれやすいという点にあります。
一瞬だけ女性的に聞こえる。 短いフレーズでは成立している。 褒められた経験がある。
こうした要素が積み重なると、 「自分はできている側だ」という認識が生まれます。
この認識が検証されないまま固定されると、 成立していない状態への積み重ねが続きます。
成立しているかどうかを確認するためには、 感覚的な手応えではなく、 成立条件に照らした確認が必要です。
成立していない状態から何が起きるか
女声として成立していない状態で練習を続けると、 いくつかの問題が起きやすくなります。
成立していない発声の癖が定着します。 声の使い方は習慣として体に馴染むため、 誤った方向への積み重ねが深くなるほど、 方向を変えることが難しくなります。
喉への負荷が蓄積されます。 不安定な発声を続けることで、 声帯への負担が積み重なります。
方向性の見直しが遅れるほど、 修正にかかる時間が長くなります。
成立していない状態に気づくことが、 取り組みの方向を確認する出発点になります。
女声として成立しているかどうかの確認が先になる
ここまで見てきたように、 女声として成立していない声には共通する特徴があります。
続かない、声量で崩れる、緊張で出なくなる、裏声に依存している、高さだけで成立している、条件付きでしか出ない、録音すると印象が変わる。
こうした特徴のいずれかに当てはまる場合、 今取り組んでいる発声が女声の成立条件を満たしているかどうかを確認することが先になります。
女声として成立するための条件と判断基準については、 女声として成立していない発声が喉を壊す構造で詳しく扱っています。


