オンライン特化型の声優スクール・メイクリでは、 女声を学びたい人から「練習を続けているのに崩れが直らない」という相談を受けることがあります。
声を作っている間は成立している。 短い台詞なら問題ない。 でも会話が続くと崩れる。 笑ったときに戻る。 息継ぎのタイミングで男声に引っ張られる。
こうした状態が続いていても、 練習量を増やすことで解決しようとするケースがあります。
ですが崩れが直らない理由は練習量の問題ではありません。 崩れが起きる構造的な理由があります。
このページでは、 女声練習を続けているのに崩れが直らない理由を見ていきます。
崩れているポイントを特定できていない
崩れが直らない最初の理由は、 どこで崩れているのかを特定できていないという点です。
崩れているという感覚はある。 でもどのタイミングで、何が原因で崩れているのかが分からない。
この状態では、 崩れに対してアプローチする方向が定まりません。
息継ぎのタイミングで戻る人もいれば、 語尾で崩れる人もいます。 笑い声のときだけ崩れる人もいれば、 長く話すと徐々に戻っていく人もいます。
崩れるポイントは一人ひとり異なります。
崩れているという事実だけを認識して、 全体的に「もっと女声を意識する」という方向で練習しても、 崩れているポイントに対してアプローチできていないため、 崩れは直りません。
崩れを直すためには、 まず崩れているポイントを特定することが必要です。
崩れているポイントは自分では気づきにくい
崩れているポイントを特定できない理由のひとつは、 崩れているポイントは出している本人には気づきにくいという性質があるからです。
骨伝導の影響により、 自分の声を内側から聴いている感覚と外から聴こえる音では、 伝わり方が異なります。
崩れている瞬間に自分ではそれほどズレを感じていなくても、 外から聴くと明確に崩れているケースがあります。
また、崩れに慣れてしまうことがあります。 毎日同じように崩れている場合、 その崩れた状態が「普通」として感知されるようになり、 崩れとして認識しにくくなります。
独学で録音して聴き返しても、 崩れているポイントを正確に特定することは難しい。 評価の基準がない状態では、 何が問題なのかが分からないまま「なんとなく変な気がする」という感想止まりになります。
崩れの原因が表面ではなく根本にある
崩れが直らない理由のひとつは、 崩れの原因が表面ではなく根本にあるという点です。
「もっと高くすれば崩れない」 「もっと意識すれば維持できる」
こうした方向で練習しても、 崩れの根本的な原因にアプローチできていない場合、 崩れは直りません。
崩れが起きる根本の原因は、 息の使い方にある場合も、 共鳴の位置にある場合も、 声帯の状態にある場合もあります。
表面的な症状として「崩れる」という現象が起きていても、 その原因は一人ひとり異なります。
根本の原因を特定しないまま表面だけに対処しても、 崩れは繰り返されます。
意識して作った声と自然な状態の声は別の問題
崩れが直らない構造的な理由のひとつに、 意識して作った声と自然な状態の声は別の問題だという点があります。
声を意識して作っている状態では成立している。 ですが会話の流れの中で意識が途切れると崩れる。 笑い声や返事などの反射的な発声では崩れる。
こうした状態は、 「作った声として成立している」のであって、 「女声として成立している」とは言えません。
女声として成立するためには、 意識的に作っていない自然な状態の発声においても、 女性の声として知覚され続けることが条件になります。
意識して維持することと、 自然な状態で成立することは、 到達している段階が異なります。
意識して作った声を練習することで崩れを直そうとしても、 自然な状態での成立という条件には近づかないことがあります。
練習量を増やしても崩れの構造は変わらない
崩れが直らないとき、 練習量を増やすことで解決しようとするケースがあります。
毎日練習時間を延ばす。 練習の頻度を上げる。 声を出す機会を増やす。
ですが崩れの原因が練習量ではなく、 崩れが起きる構造にある場合、 練習量を増やしても崩れは直りません。
崩れているポイントを特定できていない状態で練習量を増やすと、 崩れを含んだ発声を積み重ねることになります。
崩れを含んだ発声を繰り返すことで、 崩れた状態が固定されるリスクが上がります。
練習量の問題と崩れの構造の問題は、 別の話です。
崩れにくい状態は積み重ねではなく構造から作られる
女声の崩れを直すためには、 崩れにくい状態を構造から作ることが必要です。
崩れにくい状態とは、 意識的に維持しなくても女性の声として知覚され続ける発声の基盤が作られている状態です。
この状態は、 崩れている発声を繰り返すことでは作られません。
崩れているポイントを特定し、 そのポイントに対して適切なアプローチを行い、 崩れにくい発声の状態を少しずつ作っていく必要があります。
このプロセスは、 崩れているポイントを把握した上で進める必要があります。 崩れているポイントが分からない状態では、 どこに向けてアプローチすればいいかが定まりません。
第三者の耳で崩れを確認できる環境がない
崩れが直らない構造的な背景のひとつは、 第三者の耳で崩れを確認できる環境がないという点です。
自分では気づけない崩れのポイントを、 リアルタイムで確認してもらえる環境がなければ、 崩れているポイントを特定する手段がありません。
独学では、 録音して後から聴き返すという方法しかありません。
ですが録音を聴き返しても、 評価の基準がなければ何が問題なのかが分かりません。 また録音は特定の場面を切り取ったものであり、 会話の流れの中でどこで崩れているのかを確認する手段としては限界があります。
第三者の耳でリアルタイムに確認しながら進める環境があれば、 崩れているポイントをその場で特定し、 対応することができます。
この環境がない状態では、 崩れが直らないまま時間が過ぎることになります。
崩れが直らない理由は練習量ではなく構造にある
ここまで見てきた理由に共通しているのは、 崩れが直らない理由が練習量や意志の問題ではなく、 崩れが起きる構造的な理由にあるという点です。
崩れているポイントを特定できていない。 崩れているポイントは自分では気づきにくい。 崩れの原因が根本にある。 意識して作った声と自然な状態の声は別の問題。 練習量を増やしても崩れの構造は変わらない。 第三者の耳で確認できる環境がない。
これらの条件が重なった状態で練習を続けても、 崩れが直らないまま時間が過ぎることになります。
崩れが直らないことを練習量の問題として片付ける前に、 崩れが起きる構造的な理由がどこにあるのかを確認することが必要です。
女声を教えられる場所が少ない構造的な背景については、 女声を教えてくれる声優スクールが存在しない理由で扱っています。


