オンライン特化型の声優スクール・メイクリでは、 「喉声の改善にどれくらい時間がかかりますか」という質問を受けることがあります。
喉声の改善には時間がかかります。 その理由を構造として理解することで、 取り組みの方向性と期待値を 適切に設定することができます。
このページでは、 喉声の改善に時間がかかる理由を見ていきます。
発声の習慣を変えることには時間がかかる
喉声の改善に時間がかかる最大の理由は、 発声の習慣を変えることそのものに 時間がかかるためです。
喉声は長年の発声習慣として定着しています。 幼少期からの発声パターンが積み重なり、 身体に深く刻まれています。
習慣として定着したパターンを変えるには、 新しいパターンを繰り返すことで 身体の自動反応を書き換えていく必要があります。 この書き換えには 継続的な取り組みと時間が必要です。
「1回指摘されて気をつけたら直った」という種類の変化では 習慣として定着しないため、 しばらく経つと元に戻ることがほとんどです。
複数の原因が絡み合っている
喉声の原因は軟口蓋・舌・首という 複数の要素が絡み合っています。
これらは独立した問題ではなく 互いに影響し合っています。 ひとつが改善されると別の問題が浮上することがあり、 改善の過程は直線的に進まないことがあります。
また複数の原因のうち どれから対処するかによっても 改善の速度が変わります。 優先度の高い原因から順に整えていく必要がありますが、 この順序を見極めること自体にも 時間と確認が必要です。
複数の原因が絡み合った状態を ひとつひとつ解きほぐしていくには 相応の時間がかかります。
感覚と実音のズレを縮めるには時間がかかる
喉声の改善において重要なのは、 感覚と実音のズレを縮めることです。
喉声の状態では 自分が感じている発声の感覚と 実際に出ている音の間に 大きなズレがあります。
改善の過程では このズレを少しずつ縮めていく必要があります。 外部からの確認を繰り返すことで、 どのような感覚のときにどのような音が出ているかという 対応関係が身体に形成されていきます。
この対応関係の形成には 繰り返しの経験が必要であり、 一度の確認で定着するものではありません。 ズレを縮めていく過程そのものが 時間を要するものです。
改善が非線形に進む
喉声の改善は 一定の速度で直線的に進むものではありません。
改善の過程では 変化が感じられない停滞期、 一時的に悪化したように感じる時期、 突然変化が起きたように感じる時期が 交互に訪れることがあります。
停滞期に「改善が起きていない」と判断して 取り組みを止めてしまうと、 その後に起きるはずだった変化が起きなくなります。
非線形な改善の過程を理解せずに 短期間での結果だけを見て判断すると、 継続できなくなるリスクがあります。
新しい発声パターンの定着には繰り返しが必要
喉声でない発声のパターンが 新しい習慣として定着するためには 繰り返しが必要です。
発声の変化が一度確認できても、 それが習慣として定着するまでには 同じ状態を繰り返し経験する必要があります。
発声は意識的なコントロールから 自動化された動作として機能するまでの過程が必要です。 この自動化には 繰り返しの発声と継続的な確認が必要であり、 短期間で完了するものではありません。
新しいパターンが自動化されるまでの期間が 改善に時間がかかる理由のひとつです。
時間がかかることを前提にした取り組みが必要
喉声の改善に時間がかかることは 取り組みの失敗を意味しません。 発声の習慣を変えるという性質上、 時間がかかることは自然な状態です。
時間がかかることを前提として 継続的な取り組みを設計することが必要です。 短期間での劇的な変化を期待して始めると、 結果が見えにくい時期に続けられなくなります。
方向性が正しい取り組みを継続することが 喉声の改善における最も重要な条件のひとつです。
喉声が改善された先に成立する響く声の条件については、 喉声の改善が完了した声の成立条件で詳しく扱っています。

