オンライン特化型の声優スクール『メイクリ』では、女声に関する相談を日常的に受けています。その中には、「女声ができる」と言っていいのかどうか、自分では判断できないという方がいます。
男の娘としてのVR活動では、アバターや衣装は整えられます。立ち振る舞いや世界観も、工夫すれば形になります。
ですが、最後に残るのは「声」です。話した瞬間に生まれる違和感は、誤魔化しがききません。
出せる場面はある。でも「できます」と言い切れない。友人には通じるが、初対面の相手には自信がない。
こうした迷いは、努力不足の問題ではありません。「できる」の基準が明確になっていないため、判断できない状態になっているだけです。
本記事では、「女声ができる」と言える状態がどういう状態かについて、特定の方法や練習論に寄らず、成立の定義という視点から掘り下げていきます。
「できる」という言葉が指す状態は人によって違う
「女声ができる」という言葉は、使う人によって指している状態が異なります。
出そうと思えば出せる。友人との会話では通じる。調子のいい日は成立する。短い発話なら通じる。これらはすべて「できる」と表現される場合があります。
ただし、これらはそれぞれ異なる状態です。「出そうと思えば出せる」は、意識すれば出るという状態です。「友人との会話では通じる」は、特定の条件下では成立するという状態です。これらを同じ「できる」として扱うと、現状の把握が難しくなります。
主観的な「できる」と他者の知覚は別の問題
自分が「女声で話した」と感じていても、相手が女性として知覚しているかどうかは別の問題です。
声の性別知覚は、聞いた側が判断します。話した側が「女声を出した」という意識があっても、相手には別の印象として届いている場合があります。
「できる」の基準を自分の感覚に置いている場合、他者の知覚との差が生じます。友人が「通じている」と言っていても、その友人が評価を気遣っている場合もあります。あるいは、特定の条件が重なって成立しているだけの場合もあります。
「できる」と「成立している」の違い
メイクリでは、女声の成立を「継続的に女性として知覚される状態」と定義しています。
一瞬出せることではありません。特定の条件下で通じることでもありません。継続的に、どんな場面でも、他者から女性として知覚される状態が続くことです。
この定義に照らすと、「できる」と感じている状態が成立しているかどうかを確認するための問いが生まれます。知らない人との会話でも崩れないか。感情が動いた瞬間も通じるか。長時間話しても変わらないか。録音で聞いても違和感がないか。
これらがすべて成立しているなら、「できる」と言える状態に近い可能性があります。
「できる」と言えない状態の正体
「できます」と言い切れない迷いがあるとき、それは多くの場合、成立しない条件が存在することへの気づきです。
特定の場面では崩れる。調子の悪い日は出ない。初対面の相手には自信がない。こうした条件が残っているとき、「できる」と言い切ることへの違和感は正確な判断を含んでいます。
迷いを「自信のなさ」として処理すると、成立していない部分が見えにくくなります。迷いは判断材料として扱う方が、現状の把握に役立ちます。
「できます」と言える状態に至るために何が必要か
「女声できます」と言える状態に至るために何が必要かは、現在の声の状態によって異なります。どの条件では成立して、どの条件では崩れるかを把握することが、その出発点になります。
どうすれば成立の条件を広げられるか、という方法については、本記事では扱いません。ただ、「できるかどうか分からない」という状態が続いているなら、成立の基準と自分の声の現状を照らし合わせる機会が必要です。
男の娘として女声の成立基準と現状を確認したい方は、男の娘とは何か、成立の基準と判断の定義をご覧ください。
「出せる瞬間がある」ではなく、「何度でも再現できる」まで行く。
いつでも、誰に対しても、「できます」と言える声。そこから初めて、男の娘は成立します。
「可愛い」に近道無し。

