オンライン特化型の声優スクール「メイクリ」では 声優を目指している方から 「滑舌コース・発声コース・演技コースを別々に受けているのに つなげ方が分からなくて困っています」という話を聞くことがあります。
声優スクールや養成所の中には 滑舌、発声、感情処理、演技といった要素を それぞれ別のコースや授業として提供している場合があります。
各要素を専門的に学べるという印象を持ちやすいですが 声優として成立するためには これらの要素が統合された状態で機能することが必要です。
このページでは 滑舌・発声・感情処理を別々に教えるレッスンが 声優に機能しない理由を見ていきます。
声優の収録では要素が統合されている
声優として収録の場に立つとき 滑舌・発声・感情処理・間の取り方はすべて同時に機能している必要があります。
台本を読みながらキャラクターの感情を処理して マイクに向かって適切な発声で 明瞭な滑舌で台詞を届ける。
これらは収録の一瞬の中で同時に起きています。 別々の技術が収録の場で統合されて初めて声優として機能します。
滑舌だけを練習する場では 発声や感情処理との統合は問われません。 発声だけを練習する場では 滑舌や感情処理との統合は問われません。
要素を別々に練習することで その要素単体の技術は積み上がります。 ですが収録の場で統合された状態で機能させるための練習は 別々の場では積み重なりません。
要素を分けて教える構造が生む問題
滑舌・発声・感情処理を別々に教える構造には 受講者に見えにくい問題があります。
各要素を別々のコースや授業で教えることは スクール側にとって運営しやすい形式です。 コースを分けることで受講者は複数のコースを受ける理由が生まれます。 費用も複数のコース分がかかります。
受講者にとっては 多くのことを学んでいるという充実感が生まれやすくなります。
ですが各要素を別々に積み上げても それらを収録の場で統合する練習が別途必要になります。
滑舌コースで滑舌が改善されても 発声の力みが残っていれば収録として機能しません。 発声コースで発声が安定しても 感情処理が加わったときに発声が崩れる問題は別途あります。
要素を分けて積み上げることと 統合された状態で機能させることは 異なる練習が必要です。
個別の課題は要素の組み合わせで起きている
声優志望者の課題は 単一の要素の問題として起きていることは少なく 要素の組み合わせで起きていることがほとんどです。
例えば感情が入ると発声が崩れるという問題は 感情処理の問題と発声の問題が組み合わさって起きています。 感情処理コースだけを受けても 発声との統合という課題には対応できません。
早口になると滑舌が崩れるという問題は テンポのコントロールと滑舌の問題が組み合わさっています。 滑舌コースだけを受けても テンポと滑舌の統合という課題には対応できません。
声優としての課題を正確に特定するためには 複数の要素が同時に機能している状態を確認して どの組み合わせで問題が起きているかを把握する必要があります。
要素を別々に教えるレッスンでは この組み合わせで起きている課題の特定が難しくなります。
マンツーマンで統合した状態から指導する意味
滑舌・発声・感情処理を統合した状態で機能させるためには 統合した状態で練習して確認する必要があります。
マンツーマンのレッスンでは 台本を読みながら感情を処理して収録として機能させるという 統合された状態での練習が中心になります。
統合された状態での練習の中で どの要素に問題が起きているかを特定することができます。
感情が入ると発声が崩れるという問題であれば 感情を入れた状態で発声を確認するという工程が必要です。 この工程はマンツーマンで統合した状態から指導することで初めて機能します。
要素を別々に練習して後から統合しようとするアプローチは 統合した状態で課題が顕在化する問題に先に気づいてから 個別の要素に戻るアプローチと比較して 遠回りになりやすい構造があります。
大手マンツーマンスクールでも要素が分離している問題
大手マンツーマンスクールのレッスンでは 形式がマンツーマンであっても 要素が分離している問題が起きやすい状態があります。
担当する講師が毎回変わる環境では 前回の課題や修正点が引き継がれません。 前回の発声の課題が今回の感情処理の課題と どう関連しているかが蓄積されない状態になります。
また担当する講師が声優指導に特化していない場合 滑舌・発声・感情処理の統合という観点からの指導は 期待しにくい状態になります。
収録環境を前提にしていないレッスンでは 統合した状態で収録として機能するかどうかを確認する工程が 日常的に行われません。
形式がマンツーマンであっても 要素を統合した状態での練習が積み重なる環境になっているかどうかは 入会後に初めて確認できる部分です。
収録として機能する状態で練習することの意味
滑舌・発声・感情処理を統合して収録として機能させるためには 収録として機能する状態で練習することが最短の方法です。
台本を読みながらマイクに向かって 感情を処理して発声して収録を聴き返す。
この工程を毎回繰り返すことで 統合された状態で何が問題になっているかが明らかになります。
問題が明らかになった後に その問題が発声なのか滑舌なのか感情処理なのか あるいはその組み合わせなのかを特定して アプローチして変化を確認する工程が続きます。
要素を別々に積み上げてから統合しようとするアプローチとは 練習の出発点が異なります。
収録として機能する状態から出発して 問題が見つかったときに個別の要素に戻るというアプローチの方が 声優として成立するための技術を積み上げる順序として合理的です。
声優レッスンとして要素を統合した状態で指導するマンツーマンの条件については マンツーマンの声優レッスンが成立する条件で扱っています。

