私はシアーミュージックで声優コースの講師を務めていました。
在籍期間は3ヶ月です。
辞めた理由は複数ありますが、そのひとつが講師として採用された際に、対外的に謳われている研修制度が存在しなかったことです。
シアーミュージックの公式サイトには「レッスン業務開始前には約300時間の研修を受けることになっています」と記載されています。
採用率5%という厳しい選考基準とともに、講師の質を示す根拠として掲げられている情報です。
しかし私が講師として採用された際、この300時間の研修は存在しませんでした。
研修を受けることなく、即講師業務を開始しています。
本記事では、この事実をもとにスクールの公式情報と実態の乖離について見ていきます。
300時間研修という謳い文句
シアーミュージックが対外的に大きくPRしている講師の質の根拠は主にふたつです。
ひとつは採用率5%という選考基準。
もうひとつが約300時間の研修制度です。
息のかかった宣伝サイトには「レッスン業務開始前には約300時間の研修を受けることになっています」と明記されています。
この情報は講師採用の厳格さと育成体制の充実を示すものとして、スクールの信頼性の根拠になっています。
生徒がスクールを選ぶとき、講師の質は重要な判断材料になります。
「厳しい採用基準と充実した研修制度がある」という情報は入会を後押しする要素になります。
複数のメディアに掲載されている情報
シアーミュージックの300時間研修という情報は、公式サイトだけでなく複数の第三者メディアにも掲載されています。
「採用後も300時間を超える研修を受ける」「300時間以上の研修を受講」といった記述がシアーミュージックを紹介するページに確認できます。
こうした記事の多くにはシアーミュージックへの入会につながる広告リンクが掲載されています。
入会が成立すると報酬が発生する仕組みです。
つまりシアーミュージックを紹介しているメディアの情報はスクール側が広報発信した内容をもとに書かれており、実態を独自に確認したものとは限りません。
生徒がこうした情報を判断材料にする場合、その情報源がどこにあるかを意識する必要があります。
私が採用された経緯
私がシアーミュージックの講師採用試験を受けた際、選考は筆記や経歴よりも面接と模擬レッスンに時間が割かれていました。
コミュニケーション能力とレッスン技術を重視した選考内容でした。採用率5%という基準がどのように算出されているかは確認できませんでしたが、選考自体は複数のステップを経るものでした。
採用が決まった後、研修についての案内はありませんでした。約300時間の研修を受けてからレッスン業務を開始するという手順は、私の採用プロセスには存在しませんでした。
研修は存在しなかった
採用後、私は研修を受けることなく声優コースの講師業務を開始しました。
公式サイトに記載されている「レッスン業務開始前に約300時間の研修を受ける」という内容は、私が経験した採用プロセスとは一致していませんでした。
約300時間の研修がすべての講師に対して実施されているかどうかは、私の経験の範囲でしか確認できません。
ただし私が採用された時点では、この研修はもはや形骸化しており、名残すら存在しませんでした。
公式サイトおよび複数のメディアに掲載されている情報と、実際の運用に乖離があったことは事実です。
公式情報と実態が乖離するとき何が起きるか
スクールの公式情報と実態に乖離がある場合、最も影響を受けるのは「その情報を信じて入会した生徒」です。
「300時間の研修を受けた講師に教わる」という前提でスクールを選んだ生徒は、実際にはその前提が満たされていない可能性があります。
講師の質を担保する仕組みが機能していない場合、レッスンの内容は講師個人の能力と経験に依存することになります。
研修制度が充実しているという情報が判断材料として機能しなくなります。
スクールを選ぶ際に公式サイトや紹介メディアの情報だけを根拠にすることには、こうしたリスクがあります。
講師の質はどう確認すればいいのか
スクールが謳っている研修制度や採用基準が実態と一致しているかどうかを、入会前に確認することは難しいです。
ただし確認できることはあります。
担当講師が声優の現場経験を持っているかどうか。
レッスンの内容がマイクを通した実践を前提にしているかどうか。指導の継続性がどう担保されているかどうか。
これらは体験レッスンや事前の問い合わせで確認できる場合があります。
研修制度の有無よりも、実際のレッスン内容と講師の専門性を直接確認する方が判断材料として機能します。
ただしシアーミュージックのように体験レッスンが無料で提供されている場合、その体験レッスンを実施した講師への報酬が支払われていないケースがあることもあわせて知っておく必要があります。
この点については別記事で詳しく述べています。
スクール選びで研修制度の記載を見るとき
声優を目指す人がスクールを選ぶとき、講師の研修制度や採用基準は重要な判断材料に見えます。
しかしその情報が公式サイトや広告収益が発生するメディアに掲載されているものである場合、実態を反映しているとは限りません。
私が3ヶ月間、声優コース講師として在籍した経験から言えることは、公式情報と実態の間に乖離が存在していたという事実です。
スクールを選ぶ際に必要なのは、掲載されている情報を鵜呑みにするのではなく、その情報がどこから来ているのかを確認することです。
公式サイトの記載、第三者メディアの紹介記事、実際に在籍した講師や生徒の証言。
それぞれの情報源が何を根拠にしているかを意識するだけで判断の精度は変わります。
声優講師の育成体制と指導品質の関係について詳しく知りたい場合は、声優講師の育成体制と指導品質の関係を見るを参照してください。


