音響監督ワークショップに出れば、顔を覚えてもらえて配役につながるのではないか。声優ワークショップで音響監督に会えるという募集を見て、そう考える人は多いです。
先に結論を書きます。
つながりません。
ただし理由はよく言われている「音響監督にそんな権限は無いから」ではありません。逆です。
音響監督は本当にキャスティングを決められます
ここを誤解したまま読むと、この先が分かりません。
配役は基本的に音響監督が決められると考えていいです。次に権限を持っているのが原作者です。
だから「有料講座に出れば配役のチャンスがある」という誘い文句は、嘘の構造をしていません。権限は本当にあります。だからこそ餌として機能します。
問題は権限があるかどうかではありません。その権限をあなたに使う理由があるかどうかです。
それでもあなたは選ばれません
音響監督の側に立って考えてください。
名も知らない声優志望者を、自分が監督を務めている作品に出す。これで音響監督に何の得があるのか。ありません。
一方でこういう選び方があります。
事務所が推している声優をキャスティングすれば、その事務所と良い繋がりができます。次の作品でも動きやすくなります。声の質が同程度なら、どちらを選ぶかは考えるまでもありません。
ワークショップで良い芝居をしたかどうかは、この比較の土俵に乗っていません。あなたが負けているのは演技ではなく、後ろに事務所が付いているかどうかです。
音響監督ワークショップは儲けるために開かれています
では音響監督ワークショップで、監督は参加者の何を見ているのか。
そもそも見ているかどうかも怪しいです。
これは印象の話ではありません。数を並べると出てきます。
音響監督ワークショップは1回の参加人数が20人から40人。時間は2時間から3時間です。
全部の時間を参加者で頭割りにすると、20人で3時間なら1人あたり9分。40人で2時間なら3分です。実際には全体への説明も他の人の番も休憩も入ります。ひとりに向く時間はこれより短くなります。
3分から9分でその人の芝居の何が分かるのか。そういう場です。
音響監督が主催するワークショップは、金銭を儲けるために開かれているものだからです。参加者を発掘するために開いているのではありません。
参加費は1回2万円から6万円です。20人集まれば40万円、40人で6万円なら240万円。2時間から3時間で、です。
この数字を見たうえでもう一度考えてください。わざわざ参加者の中から無名の新人を探して、自分の作品に押し込む手間をかける理由があるでしょうか。
一応、基本的な演技と発声くらいは見てくれていると思います。フィードバックを返さないといけないからです。ただそれは審査ではなく商品の一部です。
「音響監督は怖い」は本当です
これは脅しではなく、そうなる理由があります。
音響監督は実質的にCV収録の責任者です。責任が重い以上、怖い人が多いと思われるのは仕方のない部分があります。
そして実際の現場には鬼のように厳しい人が多いのも事実です。
ただここで1つ気づいてほしいことがあります。現場で鬼のように厳しい人が有料のワークショップでは厳しく言わないなら、それはなぜなのか。その場は仕事の場ではないからです。
終わってからもメールが届きます
参加費を払って終わりではありません。
継続して参加すると割引があります。そして登録したメールアドレスには再参加の要請がバンバン届きます。
ここで一度立ち止まってください。本当に人を見つけるための場なら、一度見れば済むはずです。同じ人を何度も呼ぶ必要はありません。
繰り返し来てほしいということは、見られる側ではなく払い続ける側として期待されているということです。
それでも出るなら何のために出るのか
音響監督ワークショップに出るなという話ではありません。知ったうえで出るかどうかは、その人が決めることです。
ただ期待できるものを正直に並べると、こうなります。
- 配役:期待できません。声優志望者の経験談を総合しても、そうなります
- 演技の上達:薄いです。1日や2日で上手くなるものではありません
- 自己啓発:強いて挙げるならここです
3つめを目的にして、その値段に納得できるなら出ればいいと思います。ただ配役の順番待ちにお金を払っているつもりなら、その列は進みません。
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