オンライン特化型の声優スクール『メイクリ』では、女声に関する相談を日常的に受けています。その中には、VRChatで長時間過ごすうちに、後半になるほど女声が維持できなくなるという経験をしている方がいます。
男の娘としてのVR活動では、アバターや衣装は整えられます。立ち振る舞いや世界観も、工夫すれば形になります。
ですが、最後に残るのは「声」です。話した瞬間に生まれる違和感は、誤魔化しがききません。
最初は出ている。でも時間が経つほど崩れていく。3時間後の録音を聞くと、最初と声が違う。
こうした状態は、努力不足の問題ではありません。時間が経つほど崩れる声は、まだ意識に依存している声です。
本記事では、長時間のVR活動で女声が維持できなくなる理由について、特定の方法や練習論に寄らず、集中と発声の関係という視点から掘り下げていきます。
声帯の疲労と意識の疲労は別の問題
長時間のVR活動で声が崩れる理由は、一つではありません。
声帯の物理的な疲労。声への意識の疲労。この二つは別の問題です。
声帯の疲労は、長時間話し続けることで声帯に負荷がかかり、声が出にくくなる状態です。声がかすれる、音程が安定しない、声量が落ちる。これらは声帯の疲労から来ます。
意識の疲労は、声を意識的に作り続けることで生じます。集中力が落ちると、声への注意が薄れます。その瞬間、地声に戻ります。こちらは声帯の状態ではなく、意識のコントロールの問題です。
長時間活動では意識の維持が困難になる
VRChatで3時間、4時間と活動する場合、その間ずっと声への意識を保ち続けることは、現実的に難しい状況です。
会話の内容に集中する場面。楽しくなってテンションが上がる場面。何かに驚く場面。こうした瞬間、声への意識は後退します。意識が後退すれば、声は慣れた状態に戻ります。
これは集中力の問題ではなく、声が意識の外でも出てくる段階に至っていない問題です。
後半に崩れることを「仕方ない」で済ませている場合がある
「長時間やっていれば崩れるのは仕方ない」という考え方があります。疲れれば崩れる。それは自然なことだという認識です。
この認識が完全に間違っているとは言えません。声帯の物理的な疲労によって声が変化することは、生理的に起きます。
ただし、意識の疲労による崩れを「疲れたから仕方ない」と同一視すると、声の現状把握が難しくなります。声帯が疲れていなくても崩れているなら、それは意識の問題です。その区別がつかないまま「仕方ない」で済ませると、改善の余地がある問題が見えなくなります。
活動時間と声の成立範囲を把握することの意味
自分の声が何時間まで成立するかを把握することは、活動の組み立てに影響します。
2時間は成立する。3時間を超えると崩れ始める。こうした情報があれば、活動の長さや、重要な場面を前半に置くといった調整ができます。
ただし、それは声の成立範囲に合わせて活動を縮小するということでもあります。活動の幅を広げたいなら、声が成立できる時間を延ばす必要があります。どうすればそれが可能かは、声の現状と、崩れの原因が何かによって変わります。
男の娘として長時間の活動でも崩れない女声を学ぶことについて知りたい方は、男の娘として成立し続けるための定義と判断基準をご覧ください。
「出せる瞬間がある」ではなく、「何度でも再現できる」まで行く。
活動の最初も、最後も、同じ声が出る。そこから初めて、男の娘は成立します。
「可愛い」に近道無し。

