頑張っているのに伸びない人へ
声優を目指している人の多くは怠けているわけではありません。むしろ真面目に練習して、空いた時間で発声や台本読みを続けています。
それでも結果が出ないと、自分には才能がないのかと考えてしまいます。けれども問題は努力の量ではなく、努力の向きにあることが多いです。
声優の練習は、量を増やせば自動で上手くなるものではありません。ずれた練習を続けると、やった分だけ同じ癖が濃くなります。
頑張っているのに伸びない人は、努力不足とは限りません。
いちばん危ないのは、間違った努力を努力だと信じている状態です。
そのまま続けると、努力そのものが足かせになります。
この記事では、声優志望者が陥りやすい間違った努力を扱います。才能の有無で終わらせず、どの練習が結果に化けていないのかを見ていきます。
間違った努力はやる気がある人ほど入りやすい
間違った努力に入りやすいのは、やる気のない人ではありません。早く伸びたい人や遅れを取り戻したい人ほど危ないです。
焦りが強いと、人は今の練習を増やそうとします。新しい講座を足して動画を足し、ワークショップまで足します。
けれども増やすほど、自分の課題がぼやけることがあります。何を直したいのか分からないまま足す努力は、忙しさだけを作ります。
| よくある行動 | 本当に見る点 |
|---|---|
| 講座を足す | 課題が一つに絞れているか |
| 練習量を増やす | 前回から何が変わったか |
| 動画を保存する | 自分の声で試したか |
| ワークショップへ行く | 次の一回が変わったか |
少し毒を入れるなら、忙しい声優志望者ほど止まっていることがあります。予定は埋まっているのに、録音を聞くと半年前と同じ癖が残っています。
努力している感覚は強いです。けれども聞く側に届くのは感覚ではなく、声の変化です。
掛け持ちで伸びると思う人
伸び悩む人ほど、学ぶ場所を増やそうとします。声優スクールに通いながら別の講座へ行き、単発のワークショップも入れます。
一見すると前向きです。けれども掛け持ちは、今の課題が見えていない人ほど危険です。
講師ごとに言うことは違います。ある人は声の響きを直せと言い、別の人は感情をもっと出せと言います。
別の場ではテンポを上げろと言われるかもしれません。そのたびに全てを取り込もうとすると、次の練習で何を優先するのか分からなくなります。
| 掛け持ちで起きること | 止まりやすい理由 |
| 指摘が増える | 優先する順番が消える |
| やり方が増える | 次の練習がぼやける |
| 刺激がある | 伸びた気になる |
| 出費が増える | 引き返しにくくなる |
学ぶ場所が多いほど安心する人は、自分の軸を外へ預けています。どこかの先生が答えをくれるはずだと思うほど、自分の録音を聞かなくなります。
声優で伸びるには、たくさん通うことより同じ癖を減らすことが先です。複数の場所を回っているのに同じ注意を受け続けているなら、増やした努力は的に当たっていません。
有名な人に教われば変わると思う人
有名な声優や監督のワークショップは、魅力的に見えます。名前を見た瞬間に、ここへ行けば何かが変わる気がします。
しかし有名であることと、あなたの今の課題を見抜いて直せることは別です。強い実績を持つ人が、今のあなたに必要な一言をくれるとは限りません。
短いワークショップでは、参加者全員を見る時間が限られます。印象的な話を聞けても、自分の癖を何度も試して直す時間は少ないです。
| 高額な場で得やすいもの | それだけでは足りないもの |
| 刺激 | 日々の癖を減らす時間 |
| 憧れの人の話 | 自分だけへの指摘 |
| 緊張感 | 次の日の練習の継続 |
| 参加した満足 | 録音で分かる変化 |
高いお金を払った事実は、努力した気分を強くします。けれどもその後の声が変わっていないなら、ただ高い刺激を買っただけです。
少し厳しく言えば、名前にお金を払って安心している人もいます。あなたに必要なのは憧れの時間ではなく、今の声の癖を減らす時間です。
練習法を集めるだけの人
声優の練習法は、ネットにも動画にも大量にあります。滑舌の文や発声の手順や台本の読み方を調べれば、いくらでも出てきます。
問題は、集めた練習法を試していないことです。保存しただけで練習した気になり、次の日には別の方法を探している人がいます。
| 集める人 | 試す人 |
| 練習法を保存する | 一つ選んで録る |
| 動画を最後まで見る | 一分だけ声を出す |
| ノートに写す | 台詞で使う |
| 比較を続ける | 結果を聞く |
練習法を集める時間は、知識が増えたように見えます。けれども声を出さないなら、声優の練習としては止まっています。
本当に必要なのは、十個の方法を知ることではありません。一つの方法を自分の声で試し、録音で差を聞くことです。
発声だけを増やす人
発声練習は声優の土台です。息や響きや滑舌を整える時間は必要です。
しかし発声だけを増やしても、台詞が変わらない人がいます。声は大きくなったのに、相手へ言葉が届いていない状態です。
| 発声だけで止まる人 | 台詞で使える人 |
| 声量を上げる | 距離感を変える |
| 響きを整える | 役の状態で崩す |
| 滑舌を磨く | 意味の切れ目を見る |
| 喉を鍛える | 相手への反応を入れる |
発声が安定しても、台詞がただの音なら仕事には近づきません。怒る台詞で声量だけが増える人は、怒りを生きているのではなく怒りを説明しています。
努力の向きがずれている人は、足りないものを全部基礎に戻します。基礎が大切なのは事実ですが、台詞で使えない基礎は棚に置いた道具のままです。
台本を読み込みすぎて固まる人
台本を何度も読むことは悪くありません。けれども読み込みが強すぎると、最初に決めた演技へ固まります。
練習ではうまく読めたのに、相手役が変わると反応できない人がいます。家で作った間や感情の山を守ろうとして、相手の言葉を受けられなくなるからです。
| 作り込みすぎる人 | 余白を残す人 |
| 間を先に決め切る | 相手の声で変える |
| 感情の山を固定する | 場面の流れで動かす |
| 練習通りに出す | 指示後に崩せる |
| 失敗を避ける | 別案を試す |
台本へ書き込むほど安心できます。けれども安心のための書き込みが、現場に近い場では重さになります。
声優の芝居は、一人で完成させて持ち込むものではありません。相手の音を受けて変わる余白がないと、丁寧な朗読に近づきます。
きれいに読むことだけを目指す人
声優志望者は、きれいに読む練習をしがちです。噛まない。聞き取りやすい。滑舌が崩れない。
こうした点は必要です。けれどもそれだけでは、何人も並ぶ審査の中で残りにくいです。
| きれいに読む人 | 役として動く人 |
| 文字を正しく読む | 出来事で声が変わる |
| 安定している | 揺れがある |
| 失敗が少ない | 選択が見える |
| 聞きやすい | 相手への反応がある |
間違った努力に入っている人は、失敗しない読みを磨きます。安全な読みは、本人にとって安心です。
けれども安全すぎる読みは、聞く側の記憶に残りません。上手いけれど薄い人は、ここで落ちます。
録音を聞かずに感覚で直そうとする人
自分の録音を聞かないまま練習する人は、現在地を見誤ります。自分の中では変えたつもりでも、録音ではほとんど変わっていないことがあります。
感覚は頼りになります。けれども感覚だけでは、自分の癖に甘くなります。
| 感覚で直す人 | 録音で見る人 |
| 変えたつもりになる | 実際の差を聞く |
| 苦手な癖を避ける | 嫌でも拾う |
| 全体的に反省する | 一点に絞る |
| 次も同じ読みをする | 次の案を決める |
録音を聞くのは気持ちよい作業ではありません。むしろ嫌な作業です。
けれども声優の努力を結果に変えるには、嫌な音を聞く必要があります。聞かない人は、下手さを直す前に下手さを見る作業から逃げています。
反省だけして次の一回が変わらない人
レッスン後に落ち込む人は多いです。うまくできなかった。悔しい。次こそ頑張る。
そう思うこと自体は自然です。けれども反省が気持ちで終わると、次の一回は変わりません。
| 気持ちの反省 | 次に使える反省 |
| もっと頑張る | 語尾を落としすぎない |
| 感情が足りない | 相手の返事までの間を変える |
| 緊張した | 最初の一音を低く入る |
| 全部ダメだった | 一つだけ癖を拾う |
真面目な人ほど、反省を深くします。けれども深く反省しても、次の読み方が変わらなければ練習としては弱いです。
少し毒を入れるなら、落ち込むことに酔っている人もいます。悔しさを見せるだけで次の声が変わらないなら、それは成長ではなく感情の消費です。
外見に答えを求めすぎる人
声優の仕事では、見た目の印象が関わる場面があります。写真やイベントや配信で見られる以上、声だけで考えるのは甘いです。
ただし伸び悩みの原因をすぐ外見へ置くのは危険です。演技や発声や反応の課題が見えていない段階で外見だけを変えても、声は変わりません。
| 外見に寄りすぎる人 | 先に見るべきこと |
| 写真だけを変える | 自己紹介の中身を見る |
| 見た目で全部決まると思う | 最初の一声を聞く |
| 不安を美容に逃がす | 録音の癖を拾う |
| 印象だけを磨く | 台詞の反応を変える |
外見を整えることは大切です。けれども不安の逃げ場として使うなら、努力の向きはずれています。
声優の入口では見られ方も大事です。だからこそ、声と態度とオーディション用紙をまとめて見る必要があります。
高い出費で安心を買う人
高い講座や特別なレッスンへ行くと、前へ進んだ気がします。お金を払ったことで、本気になったように感じます。
けれども高い出費は、成長の証明ではありません。支払った額と声の変化は別です。
| 安心のための出費 | 結果につながる出費 |
| 有名だから行く | 自分の癖を見てもらう |
| 高いから効くと思う | 次の一回を変える |
| 不安だから申し込む | 目的を決めて試す |
| 続けた証が欲しい | 録音で差を聞く |
声優志望者は、不安になるほどお金を使いやすいです。高い場所へ行けば何とかなると思いたくなるからです。
かなり厳しく言えば、お金を払って安心しているだけならただの消費です。あなたの声が変わらないなら、その出費は努力ではありません。
周りと同じ練習で安心する人
同じ志望者がいる場は心強いです。仲間がいると頑張れますし、刺激もあります。
けれども周りと同じ練習で安心していると、自分の課題が見えにくくなります。みんなが発声しているから自分も発声するだけでは、自分に必要な一点がぼやけます。
| 周りに合わせる練習 | 自分を見る練習 |
| 全員と同じ課題をこなす | 自分の癖を一つ決める |
| クラス内で比べる | 前回の自分と比べる |
| 先生の好みに寄せる | 作品の意図を見る |
| 目立たず進む | 別案を出す |
声優の評価は、クラスで真面目にやっていたかでは決まりません。今その場で使える声かで見られます。
周りと同じ努力で安心する人は、競争しているつもりで群れに隠れています。そこにいる限り、自分の弱さを見ないまま時間が過ぎます。
情報収集で動いた気になる人
練習法や業界の話を調べることは大切です。けれども情報収集だけで動いた気になる人は、かなり多いです。
調べている間は、まだ可能性が残っているように感じます。実際に録音すれば下手さが見えますが、調べているだけなら傷つかずに済みます。
| 調べるだけの人 | 動く人 |
| 練習法を読む | 一つ録る |
| 比較記事を見る | 期限を決めて試す |
| 合格談を読む | 自分の課題に置く |
| 口コミを探す | 自分の声を聞く |
情報を集める時間は、努力に見せかけやすいです。けれども声を出していないなら、声優の力は増えていません。
ここははっきり言えます。調べるだけで動かない人は、情報ではなく安心を探しています。
間違った努力を見分ける問い
今の努力がずれているかを見るなら、次の問いを使ってください。答えに詰まる項目があるなら、そこに見落としがあります。
- 直近の練習で何が変わりましたか
- 同じ注意を何回受けていますか
- 録音で前回との差を聞けますか
- 講座を増やした理由を一文で言えますか
- 練習の終わりに次の一手が決まっていますか
- 高い出費で安心しようとしていませんか
- きれいに読むだけで終わっていませんか
- 声質や外見に答えを預けすぎていませんか
この問いは、あなたを責めるためのものではありません。努力の向きを見るためのものです。
ただし、問いから逃げたくなるなら危ないです。逃げたくなる項目ほど、今の努力が当たっていない場所です。
努力を足す前に止めるべきこと
伸び悩む人は、何かを足そうとします。新しい練習。新しい講座。新しい先生。新しい教材。
そうやって不安を埋めます。けれども先に止めるべき努力もあります。
| 止めるべきこと | 代わりにやること |
| 同じ読みの反復 | 三つの狙いで読む |
| 目的のない掛け持ち | 課題を一つに絞る |
| 見るだけの勉強 | 一分録音する |
| 気分だけの反省 | 次に直す点を書く |
| 安心のための出費 | 変化を確認する |
努力を止めることは、逃げではありません。ずれた努力を止めることは、時間を守る判断です。
声優の世界で怖いのは、努力しないことだけではありません。間違った努力を正しいと思い込み、何か月も同じ場所にいることです。
結果に化ける努力の形
結果に化ける努力は、派手ではありません。むしろ地味です。
録音を聞いて一つの癖を拾い、次の台詞で試す。指摘を受けたら、まず一回変えて出す。落ちたら、次のオーディション用紙や最初の一声を直す。
| 努力の形 | 結果につながる理由 |
| 一つの癖を減らす | 次の声に反映しやすい |
| 同じ台詞を別案で読む | 指示後に動ける |
| 録音で差を聞く | 感覚の甘さが減る |
| 出費の目的を決める | 安心買いを避けられる |
結果に化ける努力は、自分に優しくありません。録音は嫌な音を聞かせます。
指摘は見たくない癖を見せます。落選は足りない準備を突きつけます。
けれどもそこに材料があります。気分の良い努力だけを選ぶ人は、伸びた気分にはなれても変化を残しにくいです。
頑張っているのに伸びない理由
頑張っているのに伸びない理由は、才能だけではありません。努力の向きがずれているからです。
掛け持ちを増やしても、課題が一つに絞れていなければぼやけます。高い場へ行っても、次の一回が変わらなければ刺激で終わります。
発声を増やしても、台詞で使えなければ評価には届きません。録音を聞かないなら、現在地の見積もりも甘くなります。
努力している気分は、かなり強いです。忙しいほど頑張っている気がしますし、お金を払うほど本気になった気がします。
けれども声優として見られるのは、あなたの忙しさではありません。練習の後に声が変わったか。指摘後に別案を出せたか。録音で前回との差が聞けるかです。
間違った努力を続ける人は、最後に才能がなかったと言いたくなります。ですが本当は、才能を測る前に努力の向きが外れていたのかもしれません。
的を外した努力を早めに捨てる判断については、声優は努力だけではなれないのか|才能がないと感じる前に見る現実ページで詳しく解説しています。


