オンライン声優スクールという言葉は、ここ数年で急速に広まりました。 自宅で学べる、移動が不要、時間の融通が利く。 そうしたメリットだけを見ると、通学型より合理的に見えるかもしれません。
ですが実際には、「オンラインで受けられる」ことと「オンラインで成立している」ことは別の話です。
声優の仕事は、最終的にマイクを通した音声で評価されます。 この前提に立ったとき、オンラインという環境がどのように設計されているかによって、学習の質や積み上がり方は大きく変わります。
この記事では、地方在住で声優を目指す人にとって、オンラインスクールが持つ意味を見ていきます。
地方在住という条件の現実
声優の仕事と事務所は、東京に集中しています。 オーディション・収録・現場のほとんどが東京で行われます。 地方在住で声優を目指す場合、この現実は避けられない条件です。
ただしこの条件は、地方在住が不利であることを意味するとは限りません。 技術の習得という段階においては、どこに住んでいるかより、どういう環境で練習するかの方が成長速度に影響します。
地方在住であることが問題になるのは、現場に出る段階です。 技術を積み上げる段階では、地域という条件は以前ほど障壁になりません。
地方在住が通学型スクールを選べない理由
東京の大手声優スクールや養成所に通うためには、東京に住むか、定期的に東京へ移動する必要があります。
地方在住の場合、この選択は現実的でないことが多いです。 新幹線や飛行機での移動コストが毎回発生します。 週複数回の通学を前提としたスクールには、地方からでは通えません。 東京移住を選ぶ場合、生活コストが大幅に上がります。
この条件から、地方在住で声優を目指す人がオンラインスクールを選ぶことは、現実的な判断です。 ただしオンラインスクールを選ぶ理由が「他に選択肢がないから」である場合、スクールの構造を確認せずに選びやすくなります。 選択肢が限られているという状況は、判断を雑にするリスクを持ちます。
地方在住が陥りやすいパターン
「オンラインで受けられる」だけで選ぶ
地方在住の場合、オンラインで受けられること自体が選択肢を広げる条件になります。 ただし「オンラインで受けられる」ことと「オンラインで成立している」ことは別の話です。
通学型スクールをそのままオンラインに移しただけの環境では、地方在住者がオンラインで受けても、集団指導の問題はそのまま残ります。 オンラインで受けられることを優先した結果、指導の密度が低い環境を選ぶケースがあります。
東京移住を急ぐ
地方在住で声優を目指す人の中に、「早く東京に出なければ」という焦りを持つ人がいます。 東京にいることが声優になるための条件だという認識から来るものです。
ただし技術が伴わない状態で東京に出ても、オーディションで評価される可能性は上がりません。 東京移住を急ぐより、今いる場所で技術を積み上げることの方が、現実的な順番になる場合があります。
オンラインで成立しているスクールで技術を積み上げ、現場に出る段階で東京との距離を縮めていくという順番は、地方在住者にとって合理的な選択肢のひとつです。
地方のスクールで妥協する
地方にも声優スクールや演技教室が存在する場合があります。 東京のスクールより通いやすいという理由で選ぶケースがあります。
ただし声優の技術指導において、地域の近さと指導の質は別の問題です。 通いやすいスクールが、自分の課題に対応できる指導体制を持っているとは限りません。
地方在住者にオンラインが合理的になる条件
地方在住者にとってオンラインスクールが合理的になる条件があります。
完全マンツーマンで、自分だけに時間が使われること。 リアルタイムで音声確認とフィードバックが行われること。 個別の課題に対応できる体制があること。 スケジュールの柔軟性があること。
この条件が揃った場合、地方在住であることは技術習得の障壁にはなりません。 東京のスクールに通う人と同じ質の指導を、移動コストなしで受けられる環境が整います。
加えてマイクを通した状態での練習が毎回行われる環境では、通学型の教室では得にくい条件が加わります。 声優の仕事がマイクの前で行われる以上、この条件は地域に関わらず有効です。
地域という条件をどう扱うか
地方在住で声優を目指すことは、条件が厳しいことは事実です。 東京との距離は、現場に出る段階で影響します。
ただし技術を積み上げる段階においては、地域という条件より、どういう環境で練習するかの方が成長速度に影響します。
地域という条件を言い訳にせず、今いる場所でできる最良の環境を選ぶことが、地方在住で声優を目指す人の出発点になります。
オンライン声優スクールの構造についてさらに詳しく知りたい場合は、オンライン声優スクールの成立条件についてを参照してください。

