オンライン特化型の声優スクール「メイクリ」では 大手マンツーマンスクールに通っている方から 「マンツーマンなのに毎回同じような内容で自分の課題に向き合えている気がしません」 という話を聞くことがあります。
マンツーマンという形式は 一人ひとりに合わせた指導が受けられるという期待を持ちやすいです。 ですが大手マンツーマンスクールのカリキュラムが 受講者の個別の課題に対応していないケースは少なくありません。
この問題はカリキュラムの質の問題ではなく 大手マンツーマンスクールの設計として 個別対応を成立させるための条件が揃っていないことから生まれています。
このページでは 大手マンツーマンのカリキュラムが個別の課題に対応しない理由を見ていきます。
個別対応に必要な条件が揃っていない
大手マンツーマンのカリキュラムが個別の課題に対応しない最初の理由は 個別対応に必要な条件がそもそも揃っていないからです。
声優として成立するための個別の課題に対応するためには いくつかの条件が必要です。
その人の声を継続して聴き続けることで 問題のパターンと根本原因を把握できること。 前回の課題と今回の変化を比較できる継続した関係があること。 その人だけの課題に対応したアプローチを試して変化を確認できる十分な時間があること。 声優指導として機能する専門性を持つ講師が担当していること。
大手マンツーマンスクールの設計では これらの条件のいくつかが構造的に満たされにくい状態にあります。
担当が変わり続ける環境では 継続した観察と関係が成立しません。 1コマ45〜50分という時間設計では 個別の課題への対応を毎回完結させることが難しくなります。
マンツーマンという形式があっても 個別対応に必要な条件が揃っていなければ 個別対応は成立しません。
担当が変わるたびに個別の課題がリセットされる
大手マンツーマンのカリキュラムが個別の課題に対応しない2つ目の理由は 担当が変わるたびに個別の課題がリセットされるからです。
声優としての個別の課題は その人の声を継続して聴き続けることで初めて特定できます。
発声の癖がどの条件で出やすいのか。 感情が加わったときに発声のどこが崩れるのか。 滑舌の問題が特定の音に集中しているのか全体にあるのか。
これらは複数回のレッスンで継続的に観察することで だんだんと明確になっていきます。
担当が変わるたびに この観察の蓄積が引き継がれません。
新しい担当は初対面の状態からその人の声を聴き始めます。 個別の課題の特定が毎回浅い段階からやり直される状態が続きます。
個別対応として機能するためには 課題の特定が深まるまで時間が必要です。 担当が変わるたびにその時間が毎回消費されます。
課題が深まる前に担当が変わる繰り返しの中で カリキュラムは個別の課題に向かない状態が続きます。
全受講者に共通した枠組みが優先される
大手マンツーマンのカリキュラムが個別の課題に対応しない3つ目の理由は 全受講者に共通した枠組みが優先されるからです。
大手マンツーマンスクールは 声優志望者、ボーカル志望者、ボイトレ受講者といった 目的の異なる受講者層を同じ枠で受け入れています。
この状況でカリキュラムを設計するとき 全受講者に当てはまる枠組みが優先されやすくなります。
発声の基礎、滑舌の練習、表現力の向上。 これらは多くの受講者に共通して適用できる内容です。
声優を目指している受講者の個別の課題は この共通の枠組みからさらに踏み込んだ対応が必要です。
共通の枠組みの中で個別の課題に対応しようとすると 枠組みに収まらない部分への対応が後回しになりやすくなります。
声優として成立するために必要な マイクを通した収録環境での発声確認や 台本の読み方と感情処理の統合といった 声優特有の課題は 共通の枠組みでは中心にはなりにくい状態です。
短いレッスン時間が個別対応の深度を制限する
大手マンツーマンのカリキュラムが個別の課題に対応しない4つ目の理由は 短いレッスン時間が個別対応の深度を制限するからです。
シアーミュージックは1コマ45分 ナユタスは1コマ50分という時間設計です。
個別の課題に深く対応するためには 現状の声を確認して課題を特定する時間、 特定した課題の根本原因を明らかにする時間、 原因に対してアプローチを試す時間、 アプローチの結果として変化が起きているかを確認する時間、 次回への引き継ぎ事項を整理する時間、 これらすべてが必要です。
45〜50分という時間では これらを毎回完結させることは難しい状態です。
時間の制約の中でできることは 表面的な問題への指摘と短い練習に留まりやすくなります。
個別の課題の根本原因に届く深度での対応は この時間設計では構造的に難しくなります。
個別対応として機能するためには 十分な時間が確保されていることが前提条件です。 この前提が整っていない状態では マンツーマンという形式があっても 個別対応の深度は限定的になります。
声優指導として機能しない場合に個別対応がズレる
大手マンツーマンのカリキュラムが個別の課題に対応しない5つ目の理由は 声優指導として機能しない場合に個別対応の方向がズレるからです。
大手マンツーマンスクールでは 声優講座・ボイトレ講座・ボーカル講座の入口が同じです。 担当する講師が声優指導の経験を持っているかどうかは 入会後に担当が決まって初めて分かる構造になっています。
担当した講師がボーカル系の経験を主に持つ場合 個別の課題への対応はボーカルやボイトレとしての観点から行われます。
声優志望者の個別の課題である マイクを通した音声として機能するかどうかという観点、 台本の読み方と感情処理の統合、 収録環境での発声のコントロールといった課題は ボーカルやボイトレとしての個別対応の枠の中では 中心にはなりにくい状態です。
個別対応が行われていても その対応の方向が声優の評価基準に向いていない場合 個別対応が声優として成立するための積み上げに 機能しているかどうかは別の確認が必要です。
個別対応が成立する環境との違い
大手マンツーマンのカリキュラムが個別の課題に対応しない理由を見てきた上で 個別対応が成立する環境との違いを整理します。
個別対応が成立する環境では 担当が固定されて継続した観察が積み重なります。 課題の特定が回を重ねるごとに深まります。 根本原因への対応が継続した関係の中で蓄積されます。
十分なレッスン時間の中で 課題の特定からアプローチして変化を確認するという工程が 毎回完結します。
声優指導として機能する観点から 個別の課題が声優の評価基準に向けて特定されます。
これらの条件が揃ったとき マンツーマンという形式は個別対応として機能します。
大手マンツーマンスクールの設計では これらの条件が揃いにくい構造があります。
個別対応が成立するための条件と 声優レッスンとしてマンツーマンが機能するための設計については マンツーマンの声優レッスンが成立する条件で扱っています。

