オンライン特化型の声優スクール・メイクリでは、 「息の量を意識しても声が変わらない」という相談を受けることがあります。
息の量は発声に直接影響する要素ですが、 喉声との関係は単純ではありません。 息を増やせば喉声が解消されるわけではなく、 逆に悪化するケースもあります。
このページでは、 喉声と息の量の関係を見ていきます。
息と声の関係
声は息によって作られます。 肺から送り出された息が声帯を振動させ、 その振動が共鳴腔を通じて音として外に出ていきます。
息の量が多すぎると声は息っぽくなり、 芯のない軽い印象になります。 息の量が少なすぎると声は硬くなり、 圧迫感が出やすくなります。
適切な息の量とは 声帯の振動を安定させるのに必要な量であり、 多すぎても少なすぎても声の質が変わります。
喉声の状態ではこの息の量のバランスが 崩れやすくなります。
喉声では息のコントロールが難しくなる
喉声の状態では喉周辺の筋肉が緊張しています。
この緊張が息の流れを阻害します。 喉が緊張しているときに息を送り出しても、 声帯への圧力が均一にかかりません。 息の一部が声帯振動に使われずに ノイズとして漏れることがあります。
また首の力みが横隔膜の動きを制限すると、 息の圧力が不安定になります。 息の圧力が不安定な状態では 声量のコントロールが難しくなり、 声が突然大きくなったり小さくなったりします。
喉声の状態で息のコントロールを意識しても 喉の緊張が先に解消されていなければ 改善が難しい理由はここにあります。
息を増やすと喉声が悪化するケース
喉声を改善しようとして 息の量を増やす人がいます。
ですが喉声の状態で息の量を増やすと、 声帯にかかる圧力がさらに高まります。 圧力が高まった声帯は さらに力んで振動しようとし、 喉への負担が増します。
息が多すぎる状態では 声帯が完全に閉じられないまま振動することもあり、 息漏れが増えて声が弱くなります。 「もっと息を使って」という指示に従うほど 声が崩れるという経験がある人は このパターンに該当している可能性があります。
息が少ないと喉が代償しようとする
逆に息の量が少ない場合も問題が起きます。
息の圧力が弱いと声帯を振動させる力が不足します。 この不足を補おうとして 喉の筋肉が余計な力で声帯を締めようとします。 この「締め」が喉声の発生経路のひとつになります。
息が少なくて声が出にくいという状態で 喉を使って声を絞り出すパターンは 喉声と喉の疲れを同時に引き起こしやすいです。
息の量の問題と喉声の問題は 互いに関係し合っています。 どちらかだけを解決しようとしても もう一方の問題が残ります。
適切な息の量は喉声が解消された状態で整う
息の量のバランスは 喉声が解消された状態で初めて整いやすくなります。
喉の緊張が取れて声の通り道が確保された状態では、 自然な量の息で声帯が振動します。 余計な力が不要になるため、 息の量も自然に適切な範囲に収まりやすくなります。
息のコントロールを練習する前に 喉声の状態を変えることが先決という順序があります。 喉声のままで息の練習をしても 根本的な状態が変わらないため効果が限定的です。
息と喉声の関係を整理する
喉声と息の量の関係を整理すると以下のようになります。
喉声の状態では息のコントロールが困難になります。 息を増やしても喉声が悪化するケースがあります。 息が少ない場合は喉が代償して喉声につながります。 息の適切なコントロールは喉声が解消された先にあります。
息の量だけを調整しようとするアプローチは 喉声という根本の問題を残したままになります。
発声における息の役割と 響く声が成立するための条件については、 息と声の響きが成立する仕組みで詳しく扱っています。

