オンライン特化型の声優スクール・メイクリでは、 「普段は大丈夫なのに収録になると声がうまく出ない」という相談を受けることがあります。
マイク収録の場面で喉声が問題になるのには 明確な理由があります。 収録環境の特性と喉声の関係を理解することで、 なぜそうなるのかが見えてきます。
このページでは、 喉声がマイク収録で問題になる理由を見ていきます。
マイク収録は声の問題を可視化する
マイク収録は 日常会話では隠れていた声の問題を可視化する環境です。
日常会話では部屋の反響、 相手との距離、空間の広がりによって 声の問題がある程度補正されます。 喉声のこもりや詰まりが 空間の中で自然に調整されて聞こえることがあります。
マイク収録では この自然な補正が入りません。 マイクは声をそのまま拾い、 録音データとして固定します。
喉声の詰まり、こもり、息のノイズ、 声帯の振動の乱れが そのまま音声データとして残ります。 日常会話では問題として現れなかった喉声が 収録データを聴いたときに初めて明確になることがあります。
吸音環境が喉声を強調する
スタジオや防音室など 収録で使われる環境は吸音材で覆われています。
吸音材は音の反響を抑えるため、 声は反響による補正なしに マイクに直接届きます。
日常会話では部屋の反響が声に厚みを加えていますが、 吸音環境ではその厚みがありません。 喉声によって倍音が少ない状態の声は 吸音環境では特に薄く、 こもった印象として強調されやすくなります。
「スタジオに入ると声が変わる」という感覚は この吸音環境の影響によるものです。 声自体が変わったわけではなく、 補正が取り除かれた状態が現れています。
マイクとの距離のコントロールが難しくなる
喉声の状態ではマイクとの距離のコントロールが 難しくなる場面があります。
マイクに近い位置では 声の細かい状態がより鮮明に拾われます。 喉声の詰まりや息のノイズが より強調されて録音されます。
マイクから離れると 音量が下がるため声量を上げようとします。 喉声の状態で声量を上げると 喉への圧力が高まり喉声が悪化します。
距離を近くすれば問題が目立ち、 距離を離せば声量が必要になる。 この状況でマイクとの適切な距離を保つことが 喉声の状態では難しくなります。
収録環境での緊張が喉声を悪化させる
収録環境に入ると緊張が高まる人がいます。
スタジオという非日常的な環境、 収録への責任感、 失敗できないという意識が 身体の緊張を高めます。
精神的な緊張は首や肩の筋肉の緊張として現れます。 首の力みが増すと喉頭が不安定になり、 喉声がさらに顕著になります。
「練習のときは大丈夫だったのに 収録になると声が変わる」という経験は この緊張による喉声の悪化が関係しているケースが多いです。
収録環境での緊張は 喉声の状態を持っている人に 特に大きな影響として現れやすいです。
収録データとして残ることへの意識
収録データとして声が固定されることへの意識も 喉声を悪化させる要因になることがあります。
日常会話では声は発した瞬間に消えていきます。 ですが収録では音声データとして残り、 後から何度でも聴き返せる状態になります。
この「残る」という意識が 発声への過剰な意識につながります。 「良い声を出さなければ」という意識が強くなるほど 首や喉の緊張が高まり、 喉声が出やすくなります。
収録のたびに声が硬くなる、 テイクを重ねるほど声の状態が悪化するといった 経験がある人はこのパターンが関係しているケースがあります。
収録環境で通用する声の条件
収録環境で喉声が問題にならないためには 喉声の状態を解消することが前提として必要です。
吸音環境でも補正なしに響く声、 緊張しても崩れない安定した発声、 マイクとの距離に対応できる声量のコントロール。
これらはすべて喉声の状態を解消した先に 成立するものです。
収録環境での緊張対策や マイクの使い方の前に、 発声の構造として喉声を見直すことが 先に必要な取り組みです。
マイク収録で崩れない声が成立するための発声の条件については、 収録環境で通用する声の発声構造で詳しく扱っています。

