オンライン特化型の声優スクール「メイクリ」では 声優を目指している方から 「担当の講師さんがボーカル系の人で声優の指導が受けられている気がしません」 という話を聞くことがあります。
大手マンツーマンスクールで声優を目指して入会したにもかかわらず 担当する講師が声優指導に特化していないという状況は 珍しくありません。
この状況が起きる理由は 担当講師個人の問題ではなく スクールの設計上の問題として存在しています。
このページでは 大手マンツーマンスクールの講師が声優指導に特化していない構造を見ていきます。
声優・ボイトレ・ボーカルが同じ入口に集約されている
大手マンツーマンスクールで講師が声優指導に特化していない最初の理由は 声優・ボイトレ・ボーカルのすべての入口が同じ枠に集約されているからです。
シアーミュージック、ナユタス、MYUをはじめとする大手マンツーマンスクールでは 声優講座・ボイトレ講座・ボーカル講座のすべての体験レッスンと入口が 同じ枠に集約されています。
声優を目指して申し込んでも カラオケが上手くなりたい人や歌を楽しみたい人と 同じ枠のレッスンに入ります。
担当する講師が変わるだけで 受ける内容は同じ枠に収まります。
この設計では声優志望者に対して 声優指導として機能する講師が担当するかどうかは 入会前の段階では確認しにくい状態になっています。
業務委託契約が講師の専門性を保証しない
大手マンツーマンスクールの講師が声優指導に特化していない2つ目の理由は 業務委託契約という形態が講師の専門性を保証しないからです。
大手マンツーマンスクールの講師は雇用契約ではなく業務委託契約です。 スクールと講師は雇用関係ではなく 個人事業主として契約を結ぶ形態です。
業務委託という形態では スクール側が講師の専門分野や指導の内容を 細かく管理することは難しくなります。
ボーカル系の経験を主に持つ講師が 声優志望者のレッスンを担当するケースが起きやすい構造になっています。
スクール側にとって 声優指導に特化した講師だけを揃えることは 業務委託という契約形態と多数の校舎を維持する運営上の制約から 難しい状態にあります。
受講者が声優指導を望んでいても 担当する講師がその専門性を持っているかどうかは 入会後に担当が決まって初めて分かる構造になっています。
講師の報酬水準が専門性の維持を妨げる
大手マンツーマンスクールの講師が声優指導に特化していない3つ目の理由は 講師の報酬水準が専門性の維持を妨げているからです。
各スクールの通常レッスンにおける講師報酬を見ると シアーミュージックは1コマ45分あたり800円です。 ナユタスは1コマ50分あたり1,500円です。 MYUは1コマ60分あたり1,300円です。
シアーミュージックは時間も報酬も最も低い水準にあります。
業務委託で固定給のない状態でこの報酬水準では 声優指導の専門性を深めるために時間と費用を投資する動機は 経済的な観点からは成立しにくくなります。
声優指導に特化した知識や経験を積み上げるためには 声優の現場を経験したり 声優指導の研鑽を積んだりする必要があります。 この投資に見合う報酬が保証されない状態では 専門性を高める方向に動きにくい構造があります。
担当する講師の専門性の問題は 講師個人の意識や姿勢の問題ではなく 報酬構造がそうなっているためでもあります。
担当が変わるたびに専門性が変わる
大手マンツーマンスクールの講師が声優指導に特化していない4つ目の理由は 担当が変わるたびに専門性が変わることです。
大手マンツーマンスクールの多くは 講師を毎回自由に選べるシステムを採用しています。
このシステムでは 声優指導の経験がある講師を担当に選んでも 次回は別の講師が担当になる可能性があります。
担当が変わるたびに 指導の専門性と方向が変わります。
前回の声優指導として機能した指摘が 今回の担当講師の指導方針と食い違う場面が起きやすくなります。
声優として成立するための技術の積み上げは 継続した関係の中で同じ方向に積み重なることで機能します。 担当が変わるたびに専門性が変わる環境では この積み重ねが方向を失いやすくなります。
声優指導として機能するフィードバックの条件
声優指導として機能するフィードバックには いくつかの条件があります。
マイクを通した音声として機能するかどうかという観点からの評価ができること。 台本の読み方と感情処理という声優特有の課題に対応できること。 収録環境での発声の調整という観点からのアプローチができること。 個人の課題を特定して継続的に向き合える関係が成立していること。
ボーカル系の経験を主に持つ講師の指導は 音楽として成立するかどうかという観点が中心になります。 この観点と声優指導として機能するための条件は 重なる部分もありますが本質的に異なる方向を持っています。
大手マンツーマンスクールで声優指導として機能するフィードバックを受けるためには 担当する講師がこれらの条件を満たしているかどうかを 確認する必要があります。
声優指導に特化した環境を選ぶための判断基準
大手マンツーマンスクールの講師が声優指導に特化していない構造を知った上で 声優指導として機能する環境を選ぶための判断基準を整理します。
担当する講師の専門性を入会前に確認できるかどうか。 担当講師が固定されて継続的な関係が保たれるかどうか。 レッスンが収録環境を前提にした設計になっているかどうか。 台本の読み方や感情処理といった声優特有の課題に対応できるかどうか。
これらの条件が揃っている環境かどうかを 体験レッスンの外で確認することが 声優指導として機能する環境を選ぶための前提になります。
体験レッスンの30分という時間設計では これらの条件を完全に確認することは難しい状態があります。 スクールの設計思想を公式の情報から確認することが 判断材料を補う方法になります。
声優レッスンとしてマンツーマンが成立するための条件の全体像については マンツーマンの声優レッスンが成立する条件で扱っています。

