オンライン特化型の声優スクール・メイクリでは、 「練習を続けているが改善されているのかどうかが分からない」という相談を受けることがあります。
喉声が改善されているかどうかを 自分で判断することには構造的な限界があります。 なぜ判断できないのかを理解することで、 改善の確認に何が必要かが見えてきます。
このページでは、 喉声が改善されたかどうかを自分で判断できない理由を見ていきます。
改善の変化は少しずつ起きる
喉声の改善は一度に大きく変化するものではなく、 少しずつ積み重なって起きます。
日々の練習の中での変化は微小であり、 昨日と今日の比較では ほとんど違いを感じられないことがほとんどです。
少しずつの変化は 本人の感覚では気づきにくく、 「変わっていない」という認識のまま 実際には少しずつ変化しているというケースがあります。
逆に変化していないのに 「変わっている気がする」という感覚が生まれることもあります。 改善への期待が感覚的な判断に影響することがあります。
変化の小ささと感覚の不確かさが重なることで、 改善の判断が難しくなります。
比較の基準点が定まっていない
改善を判断するためには 比較の基準点が必要です。
「以前の声」と「今の声」を比較することで 変化があるかどうかを判断できますが、 この比較のためには 基準点として記録された状態が必要です。
定点での録音を残していない場合、 何と比べて改善されているかが分からなくなります。 記憶の中の「以前の声」は 時間が経つほど曖昧になり、 正確な比較ができなくなります。
基準点がない状態での改善判断は 曖昧な感覚の比較になるため、 判断の精度が低くなります。
感覚が改善に合わせて変化する
喉声が改善されていく過程で、 感覚の基準も変化します。
喉声でない発声の感覚が少しずつ定着すると、 以前の喉声の状態との感覚的な差が 小さくなっていきます。
改善が進んでいるにもかかわらず、 感覚として「普通の状態」になっていくため、 特別に改善されたという実感が得られにくくなります。
これは改善が起きていないのではなく、 新しい状態が基準として定着してきていることを意味します。 ですが本人の感覚からは この区別がつきにくいです。
喉声の判断基準を持っていない
改善されたかどうかを判断するためには 喉声とはどういう状態かという基準が必要です。
この基準が自分の中にない状態では、 今の声が喉声の状態にあるのかどうかを 判断することができません。
改善前の状態も改善後の状態も 自分で正確に評価する基準がない場合、 変化があっても変化として認識されないことがあります。
発声の専門的な知識なしに 喉声かどうかの判断基準を自分で構築することは難しく、 基準がない状態での自己判断は 精度が低い状態になります。
録音確認だけでは判断が難しい
録音して聴き返すことで 発声の変化を確認しようとする人がいます。
ですが録音での確認にも限界があります。 録音環境が毎回異なると 声自体の変化なのか環境の差なのかが判断できません。 また喉声の基準を持っていない状態では 録音を聴いて変化を判断することが難しいです。
録音確認は定点での環境が整っていて、 かつ判断の基準がある状態で初めて 精度の高い確認になります。 これらの条件が整っていない状態での録音確認は 改善の判断として十分ではありません。
改善の判断には外部からの確認が必要
喉声が改善されているかどうかを正確に判断するためには 外部からの確認が必要です。
発声の専門的な観点から 今の声の状態がどういう状態にあるかを評価してもらうことで、 改善が起きているかどうかの客観的な判断ができます。
外部からの確認によって 本人の感覚では気づいていない変化が認識されることがあります。 また改善していると思っていたが 実際には方向性がずれていたということも 外部からの確認で初めて分かることがあります。
改善の判断を外部からの確認に頼ることは 自己評価の限界を補うための 合理的な選択です。
喉声が改善された先に成立する発声の条件については、 喉声の改善が完了した発声の構造で詳しく扱っています。

