オンライン特化型の声優スクール・メイクリでは、 「自分の声がこもって聞こえる」という相談を受けることがあります。
こもった声は聴き手にとって聞き取りにくく、 印象が悪くなりやすいです。 喉声とこもりの関係を理解することで、 なぜそうなるのかが見えてきます。
このページでは、 喉声がこもって聞こえる理由を見ていきます。
こもった声とは何か
こもった声とは、 声が内側に籠もって外に広がらない印象の声です。
聴き手には声が遠く感じられ、 何を言っているのかが聞き取りにくい状態になります。 音量があっても声が前に飛んでこない、 厚みがなく曇って聞こえるといった特徴があります。
こもった声の原因はひとつではありませんが、 喉声の状態がこもりを引き起こすケースは多いです。 喉声によって共鳴腔の機能が低下することで 声がこもった印象になります。
喉声がこもりを生む仕組み
喉声の状態では喉周辺の筋肉が緊張しています。
この緊張が咽頭腔の形を変えます。 咽頭腔は声の共鳴において中心的な役割を持つ空間で、 ここが適切な形を保てないと 声の増幅が不十分になります。
増幅されない声は音としての密度が低く、 外に広がる力が弱い状態になります。 これがこもりとして聞こえます。
また喉声では声帯の振動が偏りやすくなります。 振動が偏ると特定の周波数帯が失われ、 声のバランスが崩れます。 高域成分が失われた声は特にこもった印象になりやすいです。
軟口蓋の下がりがこもりに与える影響
軟口蓋が下がっている状態は こもりの原因として特に関係が深いです。
軟口蓋が下がると鼻腔への通路が開いたままになり、 声の一部が鼻腔に流れていきます。 口腔を主な共鳴腔として使えない状態になるため、 声の出口が分散されます。
分散された声は焦点が定まらず、 前に飛ばない状態になります。 鼻声とこもりが同時に出やすいのはこの理由によるものです。
軟口蓋が下がっている人は 口を開けて発声しても声がこもりやすいという特徴があります。 口を大きく開けることとこもりの解消は 直接つながらないためです。
舌の位置がこもりに与える影響
舌の位置もこもりに関係します。
舌根が後退した状態では咽頭腔が狭くなります。 咽頭腔が狭い状態では 声の倍音成分が十分に増幅されません。
倍音が少ない声は厚みがなく、 こもった印象になります。 また舌が後退することで口腔の形も変化し、 声の出口の形が崩れます。
出口の形が崩れた声は 方向が定まらずに広がってしまい、 聴き手には届きにくい声になります。
首の力みがこもりを強める
首の力みはこもりをさらに強める要因になります。
首の筋肉が緊張すると喉頭が上がりやすくなります。 喉頭が上がった状態では咽頭腔が圧縮され、 共鳴スペースがさらに小さくなります。
共鳴スペースが小さい状態で出た声は 広がりのない、詰まった印象になります。 これがこもりとして現れます。
また首の力みは声帯への圧力を高めます。 声帯への圧力が高まると声が硬くなりやすく、 硬い声はこもりと同時に 聴き手に圧迫感を与えることがあります。
こもりを解消しようとして声を張ると悪化する
こもった声を改善しようとして 声量を上げる人がいます。
ですが喉声の状態で声を張ると、 喉への圧力が増し筋肉の緊張が強まります。 筋肉の緊張が強まるほど共鳴腔の機能は低下し、 こもりはむしろ悪化します。
声を張ってもこもりが解消されない場合、 声量の問題ではなく 発声の構造の問題として捉え直す必要があります。
こもりの原因は発声の構造にある
こもった声の多くは 声量や口の開き方の問題ではなく、 喉声によって共鳴腔が機能していないことが原因です。
口をもっと開ける、もっと大きく話すという対処は 根本的な原因に対応していません。
喉声の状態を変えるためには 軟口蓋・舌・首の状態という 発声の構造全体を見直す必要があります。
響く声が成立するための条件と構造については、 声の響きが成立する条件で詳しく扱っています。

