オンライン特化型の声優スクール・メイクリでは、 「舌の筋肉を鍛える練習をしているのに喉声が変わらない」という相談を受けることがあります。
舌の筋肉の弱さが喉声の原因のひとつであることは事実ですが、 舌を鍛えるだけでは喉声が直らないケースがあります。 なぜそうなるのかを理解することで、 改善の方向性が見えてきます。
このページでは、 舌の筋肉を鍛えても喉声が直らないケースがある理由を見ていきます。
舌の筋肉の弱さは原因のひとつにすぎない
舌の筋肉の弱さは喉声の原因のひとつですが、 唯一の原因ではありません。
喉声の原因は大きく3つに分類されます。 軟口蓋の下がり、舌や口内の筋肉の弱さ、首への力みです。 これらは独立して存在するのではなく、 複数が同時に関与していることが多いです。
舌の筋肉だけを鍛えても、 軟口蓋が下がったままであれば声の通り道は狭いままです。 首の力みが残っていれば喉頭は不安定なままです。 舌の改善だけでは 他の原因が残っている限り喉声の状態は大きく変わりません。
鍛え方の方向性がずれている場合がある
舌の筋肉を鍛えようとしても、 鍛え方の方向性がずれているケースがあります。
舌を前後に動かす練習、 舌を素早く動かす練習、 早口言葉を繰り返す練習など、 舌の筋肉を鍛えると思われている方法はいくつかあります。
ですがこれらの練習が 発声において必要な舌の動きに対応しているかどうかは 別の話です。
発声において必要な舌の機能は 舌が適切な位置に保たれること、 咽頭腔を適切に保てること、 発音の形成を正確に行えることです。 これらは単純な舌の素早さや力とは異なります。
鍛え方の方向性がずれていると 舌の動きは速くなっても 発声における問題は変わらないことがあります。
舌の過緊張が起きるケースがある
舌の筋肉を鍛えようとすることで 舌の過緊張が起きることがあります。
舌の筋肉が弱い状態で 強い動きを繰り返す練習をすると、 筋肉が力んだ状態で動くことに慣れていきます。 この力みが発声時にも残ると、 舌が硬くなって共鳴腔の形を崩します。
舌が硬い状態での発声は 咽頭腔が適切に保てなくなり、 喉声の状態を悪化させる方向に働くことがあります。
筋肉を鍛えることと 発声において適切に機能することは 別の目標です。 強くすることより機能させることが先に必要です。
発声と切り離した練習の限界
舌の筋肉を鍛える練習が 発声と切り離した形で行われている場合、 発声時の改善につながりにくいことがあります。
発声中の舌の動きは 他の発声器官との連動の中で行われます。 軟口蓋・息・喉頭の状態と連動しながら 舌が機能することで発声が成立します。
発声と切り離した練習では この連動を学ぶことができません。 練習での舌の動きが 実際の発声の中で機能する動きにつながらないことがあります。
発声の文脈の中で舌の状態を確認しながら 調整していくことが 発声における改善につながります。
継続期間が短い場合がある
舌の筋肉の発達には時間がかかります。
数週間の練習で変化が出ないことを 「効果がない」と判断して 取り組みを止めてしまうケースがあります。
筋肉の発達は継続的な取り組みの積み重ねによって起きます。 短期間での変化を期待して始めると 結果が見えにくい期間に続けられなくなります。
方向性が正しい取り組みであれば 継続することが前提として必要です。 継続期間が短いことが 改善が見られない原因になっているケースがあります。
舌の改善は発声全体の中で行う
舌の筋肉を鍛えても喉声が直らない場合、 舌だけに対処するアプローチを見直す必要があります。
舌の状態は発声全体の構造の中で 他の要素と連動して機能します。 舌を単独で鍛えるより、 発声の構造全体の中で舌が適切に機能するための 条件を整えることが先に必要です。
軟口蓋の状態が整い、 首の力みが取れた状態で 発声の中で舌の動きを確認していくことが 喉声の改善につながる方向性です。
発声の構造として喉声が改善されるための条件については、 舌と発声の構造が整う条件で詳しく扱っています。

