オンライン特化型の声優スクール・メイクリでは、 「喉声と胸声はどう違うのか」という質問を受けることがあります。
喉声と胸声は混同されることがありますが、 発声の構造として見ると異なる状態です。 それぞれの違いを理解することで、 自分の声の状態を整理するきっかけになります。
このページでは、 喉声と胸声の違いを見ていきます。
胸声とは何か
胸声とは、 声帯が厚く振動することで生まれる 低音域での発声パターンです。
胸声という名称は 発声時に胸に振動が感じられることから来ています。 声帯が比較的厚い状態で振動するため、 音が低く、厚みのある声質として現れます。
日常会話で使われる話し声の多くは 胸声の音域を使っています。 地声とも呼ばれることがあり、 声楽的な文脈では 音域の区分として使われることがあります。
胸声自体は発声の問題ではなく、 音域の状態を示す言葉として使われます。
喉声と胸声の根本的な違い
喉声と胸声は まったく異なる次元の概念です。
喉声は発声の構造上の問題として定義されます。 喉周辺に過剰な負担がかかっている状態であり、 軟口蓋・舌・首の問題が原因として関与します。 声の響きが損なわれ喉に負担がかかる状態です。
胸声は音域の区分として定義されます。 声帯の振動パターンの種類を示すものであり、 発声が適切かどうかとは独立した概念です。
胸声の音域で発声していても 喉声の状態になることがあります。 また胸声の音域で適切な発声ができる状態もあります。
喉声か否かの問題と、 胸声かどうかの問題は 別の軸として存在しています。
喉声と胸声が混同される理由
喉声と胸声が混同されやすい理由のひとつは、 喉声が低い音域で起きやすいという印象があることです。
低い声を出そうとするとき、 声帯が厚く振動する胸声の音域を使います。 この際に喉に力が入りやすい状態になる人がいるため、 「低い声=胸声=喉声」という 誤った連想が生まれることがあります。
ただし低い声を出すことが喉声を引き起こすわけではなく、 低い声を出そうとするときに 喉に余計な力が入るパターンの人が 喉声になりやすいというだけです。
胸声の音域で適切な発声ができていれば 喉声の状態にはなりません。
胸声が適切に機能するための条件
胸声の音域で適切な発声が行われるためには 発声の構造が整っている必要があります。
軟口蓋が適切に上がり声の通り道が確保されていること。 舌が適切な位置にあり咽頭腔が保たれていること。 首の力みがなく喉頭が安定していること。
これらの条件が整った状態で 胸声の音域を使うと、 倍音が豊かに鳴った厚みのある声が作られます。
喉声の状態でも胸声の音域を使うことはできますが、 その場合は喉への過剰な負担がかかり、 倍音が整わない詰まった声になります。 胸声の音域で出ている声が 喉声かどうかは別の問題です。
低い声と喉声の関係を整理する
低い声を出すことと喉声になることの関係を 整理しておく必要があります。
低い声は胸声の音域を使った発声であり、 適切な発声構造の上では 喉への過剰な負担なく出せます。
ただし低い声を出そうとするときに 首を縮めるような力みが入る、 声を押し下げようとして喉が締まるといった パターンが起きやすい人がいます。
この場合は低い声を出そうとする行為が 喉声のきっかけになっています。 低い声が問題なのではなく、 低い声を出そうとするときの発声のパターンが 問題として関与しています。
喉声と胸声の違いを理解することの意味
喉声と胸声の違いを理解することで、 自分の声の問題を正確に把握するための 視点が整います。
「低い声を出すと喉声になる」という認識は 低い声そのものを問題として捉えていますが、 実際には低い声を出すときの発声の構造が 問題として関与しています。
発声の構造として喉声の原因に対処することで、 胸声の音域でも喉への負担なく 豊かな声が出せる状態になります。
胸声の音域で響く声が成立するための条件については、 低音域でも響く声の発声構造で詳しく扱っています。

