オンライン特化型の声優スクール・メイクリでは、 声優を目指したい人から「声優養成所のレッスンで自分が実際に練習している時間が短い気がする」という相談を受けることがあります。
レッスンには参加している。 でも自分が声を出している時間よりも、 他の人のレッスンを見ている時間の方が長い。 これで実力がつくのかどうか不安になってきた。
こうした感覚を持ちながら通い続けているケースがあります。
この感覚は、 多人数制という形式から生まれる構造的な問題です。
このページでは、 声優養成所の多人数レッスンで一人あたりの指導時間が少ない理由を整理します。
多人数制レッスンの時間配分の構造
声優養成所のレッスンは多人数制が一般的です。 複数の入所者が同じ時間に同じ場所でレッスンを受ける形式です。
10人クラスで平均2.5時間のレッスンを受ける場合を考えます。
2.5時間は150分です。 この時間を10人で共有します。
単純に均等配分すると、 一人あたりの時間は15分になります。
150分 ÷ 10人 = 15分
ですが実際のレッスンでは、 この15分がそのまま指導の時間になるわけではありません。
レッスンの冒頭には全体向けの説明や準備の時間があります。 全体へのフィードバックの時間があります。 受講者の切り替えの間にある待機時間があります。
こうした時間が差し引かれると、 一人あたりの実質的な指導時間は15分よりさらに短くなることがあります。
15分という数字は、 均等配分した場合の理論上の上限です。
残りの時間に何が起きているか
10人クラスで自分の番でない135分間、 何が起きているかを確認します。
他の入所者のレッスンを見学しています。 全体向けの説明を聞いています。 自分の番が来るのを待っています。
声優養成所側から「他者のレッスンを見ることも学びになる」という説明がされることがあります。
他者の練習を見ることで気づきが得られる場合があることは事実です。
ですが声優としての技術は、 見ることだけでは身につきません。 実際に声を出し、フィードバックを受けることが必要です。
135分のうち自分が声を出している時間は、 実質的な指導の15分だけです。
見学時間と指導時間を区別することが、 多人数制レッスンの実態を把握するための前提になります。
声優養成所が多人数制を採用している背景
声優養成所が多人数制レッスンを採用している背景があります。
声優事務所が直接運営する養成所は、 多数の入所者を同時に在籍させることが運営上の前提になっています。
多くの入所者から入所金と月謝を受け取ることで、 養成所の運営コストをまかなう仕組みが成立します。
全員にマンツーマンで指導することは、 講師の人員コストと時間の観点から現実的ではありません。
多人数制を採用することで、 多くの入所者を少ない講師で管理することができます。
これは養成所の運営として合理的な選択です。
ですが入所者の側からすると、 この選択が一人あたりの実質指導時間を限定することになります。
クラスの人数が増えるほど指導時間が減る
多人数制レッスンでは、 クラスの人数が増えるほど一人あたりの指導時間が減ります。
10人クラスで15分。 15人クラスになると10分。 20人クラスになると7.5分。
クラスの人数は、 養成所の運営上の都合によって変動することがあります。
新しく入所者が増えた場合、 既存のクラスに追加されることがあります。
入所前に聞いていたクラスの人数と、 実際のクラスの人数が異なるケースがあります。
クラスの人数によって指導時間が変わることを把握した上で、 実際の指導時間を確認することが必要です。
2.5時間通っても指導は15分という構造の意味
2.5時間のレッスンに通うという事実は、 2.5時間学んだという感覚を生みやすいです。
養成所に行った。 レッスンを受けた。 2.5時間過ごした。
この事実の積み重ねが、 「着実に学んでいる」という感覚につながります。
ですが自分が指導を受けた時間は15分です。
2.5時間という滞在時間と、 15分という指導時間の差が、 「通っているのに手応えがない」という感覚の原因のひとつになっていることがあります。
滞在時間と指導時間を混同しないことが、 多人数制レッスンの実態を把握するための前提です。
形式が指導時間を決める構造を把握する
ここまで見てきた内容に共通しているのは、 声優養成所の多人数レッスンで一人あたりの指導時間が少ない理由が、 形式そのものから来ているという点です。
多人数制は時間を入所者全員で共有する形式。 10人クラスで2.5時間のレッスンでは均等配分で15分になる。 実際の指導時間は15分よりさらに短い可能性がある。 残りの時間は他の入所者のレッスンを見ている。 養成所が多人数制を採用している背景がある。 クラスの人数が増えるほど指導時間が減る。
多人数制という形式を選ぶ限り、 一人あたりの指導時間が限られるという構造は変わりません。
この構造を把握した上で、 自分の目的に合ったレッスン形式を確認することが判断の材料になります。
声優養成所の多人数制という構造が生む問題の全体像については、 声優養成所の多人数制で声優になれない人が多い理由で扱っています。

