オンライン特化型の声優スクール・メイクリでは、 声優を目指したい人から「声優養成所に2年以上通っているが、やめるタイミングが分からない」という相談を受けることがあります。
2年間通い続けてきた。 これだけ払ってきたのに今やめるのはもったいない。 もう少し続ければ何か変わるかもしれない。 でもこのまま払い続けていいのか分からない。
こうした状態で判断が止まっているケースがあります。
この状態の核心にあるのは、 サンクコストという概念です。 サンクコストが判断を遅らせる構造的な理由があります。
このページでは、 声優養成所でサンクコストが判断を遅らせる理由を整理します。
サンクコストとは何か
声優養成所でサンクコストが判断を遅らせる理由を理解するために、 まずサンクコストという概念を確認します。
サンクコストとは、 すでに使ってしまって取り返しのつかないコストのことです。
声優養成所への入所金。 1年間、2年間と払い続けてきた月謝。 養成所に通うために使ってきた時間。
これらはすでに使ってしまったコストであり、 やめると決めても返ってきません。
サンクコストは、 今後の判断には本来関係しない費用です。
続けるかやめるかを判断するときに考慮すべきは、 これから払うことになる費用と、 これから得られる可能性だけです。
ですが人はすでに使ったコストへの感情的な執着を持ちやすく、 この執着が判断に影響を与えることがあります。
「今やめると無駄になる」という感覚の正体
声優養成所でサンクコストが判断を遅らせる理由として、 「今やめると無駄になる」という感覚がサンクコストへの執着から来ているという点があります。
2年間払い続けてきた160万円。 この金額が「今やめると無駄になる」という感覚を生みます。
ですがここで確認すべきことがあります。
この160万円は、 やめた場合でも続けた場合でも、 すでに使われた費用として変わりません。
「今やめると無駄になる」という感覚は正確ではありません。 160万円はすでに使われており、 やめる前からすでに「戻らない費用」として存在しています。
やめるかどうかの判断は、 この160万円を無駄にするかどうかではなく、 これから払う費用に対して何が得られるかという観点で行う必要があります。
サンクコストが大きいほど執着が強くなる
声優養成所でサンクコストが判断を遅らせる理由のひとつは、 サンクコストが大きいほど執着が強くなるという点です。
在籍期間が長くなるほど、 払ってきた月謝の総額が増えます。
1年で80万円。 2年で160万円。 3年で240万円。
積み重なった金額が大きいほど、 「今やめると無駄になる」という感覚が強くなります。
感覚が強くなるほど、 判断の歪みが大きくなります。
やめることへの心理的な障壁が高くなり、 在籍を続ける方向への圧力が強まります。
この圧力によって在籍が続き、 さらにサンクコストが積み重なります。
サンクコストが大きくなるほど執着が強くなり、 執着が強くなるほどサンクコストが積み重なるというサイクルが作られます。
「もう少し続ければ変わるかもしれない」という期待との組み合わせ
声優養成所でサンクコストが判断を遅らせる問題として、 「もう少し続ければ変わるかもしれない」という期待との組み合わせがあります。
サンクコストへの執着だけでなく、 今後への期待が同時に判断を遅らせることがあります。
もう少し続ければ所属に上がれるかもしれない。 次の評価タイミングで認めてもらえるかもしれない。
こうした期待が、 「今やめると無駄になる」という感覚と組み合わさることで、 在籍を続けることへの動機が強化されます。
サンクコストへの執着と将来への期待が重なった状態では、 やめるという判断に必要な客観的な視点が持ちにくくなります。
サンクコストを切り離した判断のための観点
サンクコストへの執着を切り離して判断するためには、 観点を変えることが必要です。
確認すべき問いは以下の通りです。
今後も月謝を払い続けた場合、 これから受ける指導の時間と質はどのくらいか。
今後も在籍を続けた場合、 所属に上がれる可能性は実際にどのくらいか。
同じ費用と時間を別の選択肢に使った場合、 何が得られるか。
これらの問いに答えることで、 すでに払った費用への執着ではなく、 今後の費用と時間の使い方という観点から判断できます。
過去のコストは判断の材料ではありません。 今後のコストと得られるものが判断の材料です。
サンクコストの構造を把握することが判断を助ける
ここまで見てきた内容に共通しているのは、 声優養成所でサンクコストが判断を遅らせる理由が、 すでに払った費用への感情的な執着という人間の判断の特性から来ているという点です。
サンクコストとはすでに取り返しのつかないコストのこと。 「今やめると無駄になる」という感覚はサンクコストへの執着から来ている。 サンクコストが大きいほど執着が強くなる。 将来への期待との組み合わせで判断がさらに遅れる。 サンクコストを切り離した判断のための観点がある。
サンクコストの構造を把握することで、 すでに払った費用への執着ではなく、 今後の費用と時間の使い方という観点から判断する準備が整います。
声優養成所という仕組みが持つ構造的な問題については、 声優養成所に払い続けるほど声優への道が遠ざかる理由で扱っています。

