オンライン特化型の声優スクール・メイクリでは、 男の娘として活動したい人から「ゆっくり話すと女声が成立するのに、普通のスピードで話すと崩れる」という相談を受けることがあります。
意識してゆっくり話せば女声が維持できる。 でも会話のテンポが上がると崩れてしまう。 普通のスピードで話しながら女声を維持する方法が分からない。
こうした状態で練習を続けている人がいます。
話すスピードによって女声の成立度が変わることは、 偶然ではありません。 スピードの変化が女声の成立に影響する構造的な理由があります。
このページでは、 男の娘が話すスピードで女声の成立度が変わる理由と、 その背景にある構造を見ていきます。
ゆっくり話すと成立しやすい理由がある
話すスピードで成立度が変わる問題を理解する上で最初に把握しておくべきことは、 ゆっくり話すと成立しやすい理由があるという点です。
ゆっくり話すとき、 発声の各要素を意識的にコントロールする余裕があります。
息の量を調整する。 共鳴の位置を維持する。 喉の状態を確認しながら話す。
こうした意識的な操作をゆっくりのスピードでは行う余裕があります。
ゆっくり話すことで成立しているとき、 それは意識的な操作によって成立しているケースがほとんどです。
意識的な操作で成立している状態は、 女声として自然に成立している状態とは異なります。
スピードが上がると意識的な操作の余裕がなくなり、 成立が崩れるという構造が作られています。
スピードが上がると意識的な管理が追いつかなくなる
話すスピードが上がったときに崩れる理由のひとつは、 意識的な管理がスピードに追いつかなくなるという点です。
ゆっくり話すとき、 一言ごとに発声の状態を確認しながら進むことができます。
スピードが上がると、 一言ごとの確認が間に合わなくなります。 意識が次の言葉や会話の内容に向かっている間に、 発声の管理が追いつかなくなります。
管理が追いつかなくなった瞬間に、 発声がデフォルトの状態、 つまり男声の方向に戻ります。
スピードが速くなるほど崩れやすいのは、 意識的な管理の限界が早く来るからです。
この構造が続いている限り、 スピードを上げることへの対応として「もっと意識する」という方向では解決しません。
息継ぎのタイミングで崩れやすい
話すスピードで成立度が変わる理由のひとつに、 息継ぎのタイミングで崩れやすいという点があります。
ゆっくり話すとき、 息継ぎのタイミングを意識的に選ぶことができます。 息継ぎの前後で発声の状態を整える余裕があります。
スピードが上がると、 息継ぎのタイミングが短くなります。 息継ぎの瞬間に発声の状態を整える余裕がなくなります。
息継ぎの直後は、 発声の状態がリセットされやすいタイミングです。 このタイミングで意識的な操作が間に合わないと、 デフォルトの発声の状態で話し始めることになります。
スピードが上がるほど息継ぎの回数が増え、 崩れるタイミングが増えていきます。
息継ぎのタイミングで崩れやすいという構造を把握していないと、 スピードへの対応の方向が見えにくくなります。
反射的な発声が増えるほど崩れやすくなる
話すスピードが上がると崩れやすい理由のもうひとつは、 反射的な発声が増えるという点です。
ゆっくり話すとき、 次に何を言うかを考えながら発声を整える時間があります。
スピードが上がると、 考える前に言葉が出てくる場面が増えます。
「え、」「あ、」「そうなんだ」「うん」
こうした反射的な短い発声は、 意識的な操作を介在させる時間がありません。
反射的な発声は、 デフォルトの発声の状態で出てきます。
スピードが速い会話では、 こうした反射的な発声の割合が増えます。 反射的な発声が増えるほど、崩れる頻度が上がります。
反射的な発声でも崩れない状態を作るためには、 意識的な操作ではなく、 自然な状態での発声の基盤が必要です。
「ゆっくり話せば成立する」という前提が問題を見えにくくする
話すスピードで成立度が変わる問題において、 「ゆっくり話せば成立するから大丈夫」という判断が問題を見えにくくすることがあります。
ゆっくり話すことで成立しているとき、 「女声が出せている」という感触が生まれます。
この感触が、 スピードへの対応という問題を後回しにする方向に働くことがあります。
ゆっくり話すことで成立している状態と、 普通のスピードで話しても成立している状態は、 到達している段階が異なります。
ゆっくり話すことでの成立を「成立している」と捉えたまま練習を続けると、 実際の活動の場面で崩れる状態が続くことになります。
男の娘として活動する場面は、 ゆっくり話すことができる状況ばかりではありません。 自然な会話のテンポの中で成立することが求められます。
スピードへの対応は成立の基盤から作られる
ここまで見てきた内容に共通しているのは、 話すスピードへの対応が、 意識的な管理を上達させることではなく、 意識しなくても成立し続ける発声の基盤を作ることから生まれるという点です。
ゆっくり話すと成立しやすい理由は意識的な操作の余裕にある。 スピードが上がると意識的な管理が追いつかなくなる。 息継ぎのタイミングで崩れやすい。 反射的な発声が増えるほど崩れやすくなる。 「ゆっくりなら成立する」という前提が問題を見えにくくする。
スピードが上がっても崩れない状態を作るためには、 意識していない状態での発声がデフォルトとして女声の方向に向かっている基盤が必要です。
この基盤がない状態で「もっと意識してスピードを上げる練習をする」という方向では、 根本的な解決には向かいません。
男の娘として活動する上で女声に何が必要になるのかについては、 男の娘になりたい人が「女声」を学べるスクールで扱っています。

