オンライン特化型の声優スクール「メイクリ」では 声優スクールを検討している方から 「スクールの月謝って実際どこに使われているんですか」という質問を受けることがあります。
大手マンツーマンスクールに月謝を払い続けるとき その費用がどこに流れているかを知っている受講者は多くありません。
月謝の金額と講師報酬の差額を確認すると 大手マンツーマンスクールの運営構造が見えてきます。
この構造を知ることは 払い続ける月謝が声優として成立するための積み上げに どれだけ機能しているかを判断する材料になります。
このページでは 大手マンツーマンの月謝と講師報酬の差額が示すものを見ていきます。
各スクールの月謝と講師報酬の実態
大手マンツーマンスクールの月謝と講師報酬の実態を確認します。
シアーミュージックの月2回コースは月額11,000円です。 担当講師への報酬は1コマ45分あたり800円です。 月2回のレッスンで講師報酬の合計は1,600円です。 月謝11,000円に対して講師報酬は1,600円という計算になります。
ナユタスの月2回コースは月額16,200円です。 担当講師への報酬は1コマ50分あたり1,500円です。 月2回で講師報酬の合計は3,000円です。 月謝16,200円に対して講師報酬は3,000円という計算になります。
MYUの月2回コースは担当講師への報酬が1コマ60分あたり1,300円です。 月2回で講師報酬の合計は2,600円です。
月謝に対して講師報酬が占める割合は シアーミュージックで約14.5% ナユタスで約18.5%という水準です。
月謝の80%以上が講師報酬以外に使われている計算になります。
差額がどこに使われているか
月謝と講師報酬の差額がどこに使われているかを確認します。
大手マンツーマンスクールは全国に複数の校舎を持っています。 シアーミュージックは全国に200校舎以上を展開しています。 各校舎のテナント費、設備の維持費、スタッフの人件費が 固定費として継続的にかかります。
また体験レッスンへの集客のための広告費も 継続的にかかる費用です。 体験レッスンの入会率が10%を下回る水準では 多くの体験レッスンを集めるための広告費が必要になります。
月謝の大部分は 講師への指導報酬ではなく これらの運営コストに使われています。
受講者が払う月謝の中で 実際にレッスンの指導として使われる割合は 全体の15〜20%程度という計算になります。
この事実は 月謝を払い続けることが声優レッスンとしての指導への投資として どれだけ機能しているかを問い直す材料になります。
低い講師報酬が指導の質に与える影響
月謝と講師報酬の差額が示すものの中で 受講者に直接影響するのは 低い講師報酬が指導の質に与える影響です。
シアーミュージックの講師報酬は1コマ45分あたり800円という水準です。 業務委託という形態での時給換算では 非常に低い報酬水準にあります。
この報酬水準では 声優指導の専門性を深めるために時間と費用を投資する動機が 経済的な観点からは成立しにくくなります。
声優指導に特化した知識を積み上げるためには 声優の現場を経験したり 声優指導の研鑽を積んだりする必要があります。 この投資に見合う報酬が保証されない状態では 専門性を高める方向に動きにくい構造があります。
また低い報酬水準では 長期的にスクールに在籍し続ける動機が経済的に成立しにくくなります。 担当している講師が退職するケースが起きやすい状態が続きます。
継続した関係が声優レッスンとして機能するための条件であるにもかかわらず 低い報酬水準がその継続性を妨げる構造になっています。
体験レッスンの成功報酬構造が示すもの
月謝と講師報酬の差額が示すものとして 体験レッスンの成功報酬構造も確認する必要があります。
シアーミュージックの体験レッスンは成功報酬型です。 入会に繋がった場合は報酬が発生します。 入会に繋がらなかった場合は報酬がゼロです。
体験レッスンの入会率が10%を下回る水準では 10回担当して9回は報酬がゼロという状況が続きます。
この構造では 担当講師が入会を促す方向の行動を取りやすくなります。 入会に繋がる可能性を上げるために 肯定的なフィードバックが出やすい状態が生まれます。
体験レッスンで「声が良いですね」「向いていると思います」という評価が 返ってきやすい背景には この成功報酬構造があります。
月謝と講師報酬の差額の構造と 体験レッスンの成功報酬構造を合わせて見ると 受講者が払う費用と受け取る指導の質の関係が どういう設計になっているかが見えてきます。
月謝の使い先として機能しているかどうかの判断
月謝と講師報酬の差額が示すものを見てきた上で 現在払っている月謝が声優として成立するための積み上げに 機能しているかどうかを判断する観点を整理します。
月謝の15〜20%程度が講師報酬として使われている状況で その指導が声優レッスンとして成立しているかどうかが 機能しているかどうかの判断基準になります。
担当講師が声優指導として機能する経験と知識を持っているかどうか。 担当が固定されて継続した関係が成立しているかどうか。 収録環境を前提にした指導が行われているかどうか。 課題が特定されてアプローチして変化を確認する工程が完結しているかどうか。
これらの条件が満たされていれば 月謝の15〜20%が講師報酬として使われていても 声優レッスンとして機能している投資として判断できます。
これらの条件が満たされていない場合 月謝の大部分が運営コストに流れながら 声優レッスンとしての指導も機能していない状態になります。
月謝と講師報酬の差額が示す構造と 声優レッスンとして成立するための条件については マンツーマンの声優レッスンが成立する条件で扱っています。

